第5話 ミノタウルス
砦の窓から騎士や使用人たちが、中庭を覗き込んでいた。見張り台にも、普段より多くの騎士がいる。マーリンの使役する魔物同士の決闘を見物するためだ。
首輪から鎖が外されて、エルフも中庭の真ん中へ
右手と左脚こそ異形のものだけど、エルフは美しい女性の姿をしている。白い乳房や豊かな腰に見物している騎士たちから歓声と下司なヤジが飛んだ。
「
そんな強力な魔物とエルフを戦わせるなんて!
「……!」
マーリンの顔が曇った。予期しないことが起こっている。
エルフよりも大きく、強靱な体格の
「何をしておるか!」
マーリンは中庭に飛び出して、
モオオォォォォオ!
グルル
グルル
白い靄から解放された
「危ない!」
「うわああああああ!」
恐怖に駆られた使用人の悲鳴が中庭に響き渡る。
「……」
中庭を見守る全ての人が沈黙してしまう。
「馬鹿な!そんなことが?」
エルフの前には、ついさっきまで
あの黒い砂、あの時の人狼と同じだった。
「エルフは、
今ならマーリンだって信じてくれる。そう思っていたのに……。
「今日のことは隷属の首輪の効果ですよ。伝承の森では、たまたま魔物同士の諍いだったのでしょう」
マーリンは、僕の懇願を聞き入れてくれなかった。エルフは、直ぐに鎖に繋がれて
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