第34話 無駄じゃなかった!
幼女メイド
あれ、マジック流してんのか?
「目標へ魔法伝達を開始……拒絶されました。
「目標へ魔法伝達を開始……拒絶。再試行……拒絶。再試行。拒絶。再試行再試行再試行再試行再試行再試行再再再再再
「おい中国語みたいになってんぞ何やってんだこれ?」
あれ、何か映ったぞ。
こいつがトライアンドエラーの成せる技ってか。
つーか
出るまでピンポン鳴らしまくるセールスマンかよ。
そう言ったらバカ力でひねりつぶされそうだから言わんけど。
俺の腕力はあの数値で低いらしい。
「いい加減にせぬかーーー!
「魔道伝達成功。後はエイツがどうにかしてね」
ブーンという機械じみたような音と共にはっきりとその姿があらわになる。
そう、目の前に映し出されたのは玉座に座る魔王……プリンちゃんじゃないか! ごついサタンじゃありませんよ。
プリンちゃんですよ?
「全く。何度拒絶しても……これだから人間との魔道通信は嫌なのだ。貴様は誰だ? 失礼な国王ではないようだが……ん?」
「これ、映像だよな。すげーな。ホログラムってほどじゃないけど……ダメだ、触れないか」
「な、なな、何をしておるのだ貴様! どこを触ろうとしておる!」
「いや、だって映像だから。触れたらいいなーなんて思ったんだけれどもね。まぁいいや。俺たちあんたの支配地域に丸ごと移動したいんだよ。悪い話じゃないぜ。それが叶ったら混浴風呂が造れるんだぞ!? これ以上いい話無いだろ?」
「エイツ。最低ね」
「エイト様。話が噛み合いません。ちゃんと話して下さい」
あれ怒られましたよ。おかしいな。そういう話だったはずだ。
「こやつは一体何を言っておるのだ? 説明せよ。横にいる奴らがよく見えぬが誰かおるのであろう?」
「魔王様。
「ふむ。無礼は大目にみてやるが、手土産はあるのだろうな」
「だから混浴風呂だって。最高の手土産を造ってやるぜ」
「造る? 貴様が何かを造るのか? とてもそのような人物に見えぬが」
「俺の欲しいものはよしとしてだ。少し真面目に言うぞ……そちらにサキュバスお姉さまはいらっしゃいますか?」
「最低ねエイツ」
「エイト様。それは……」
「我が配下にはおるが、なんだ貴様……魔族になりたかったのか」
「えっ? なんでサキュバスお姉さまがいると魔族になるんだ?」
「人の男など簡単にとりこになってしまうからな。堕落すればあっという間に魔族の仲間入りだ」
え? そんな感じなんですか? 思ってたのと違いますよ?
サキュバスって夢で男をとりこにするんじゃないの?
「まぁいい。話がそれだけなら……」
「いや悪かったって。真面目な話するから。実はこの町、すごくいい町……いや多分。もしかしたらなんだけど。冒険者ギルドのお姉さんは生ゴミみたいな目で見て来るし、治療院のお姉さんはお兄さんぽいし、道具屋の姉ちゃんは直ぐ失神するけど。幼女を救ったら飯をおごってくれるミノタウロスとかもいるんだ」
「それが貴様にとって良い町なのか?」
「ああ。変な奴がまだまだいそうだけど、少なくとも嫌な町じゃない。こいつら救ってやってくれよ。頼むよ」
「魔王に救いを求める……人か。はっはっはっはっは! 愉快なことを言う。貴様は魔王がどのような存在か知らないのか?」
「すごく揺れる存在です。ええ」
「どこを見て言っておるのじゃ!」
「……エイト様。最低です」
「
「貴様、まさか勇者足り得る召喚者か!? おい
「エイト様は領主のお眼鏡にかなう優秀な人物です。領主がどうしても手が離せぬ以上、エイト様に
「適任でないのは承知しています。エイツはポロリに期待してるだけのスケベです」
おい
だってプリンちゃんはポロリするような服じゃないし。
でも、その辺を見られて怒るなら、強調する衣類着るの止めてくれませんか?
「いや待て。勇者足り得る存在ならなぜ童を見てそのような……変な視線を向けてくるだけなのだ?」
「変な視線じゃないわ! 正常な男性視線だわ! だから召喚されたけど何も知らずに牢屋へ放り込まれたんだよ。魔法が使えなくて」
「魔法が使えないだと!? 事実なら面白い……貴様に興味が湧いた。この魔道通信設備はマジックオブコートに秘蔵してあった写し返しの魔道具で間違いないか? 製作者は誰になっておる? 裏に刻まれているであろう」
「
「おいミドロ! ミドロを呼べ! あやつめ何が秀才じゃ。エイトとやら。貴様を童の城へ呼ぶ。条件が合えば貴様の話していた件を一考してやろう」
「そいつは助かるけどなんだ? どうやって行くんだ? それに時間もあんまり無さそうなんだよ。おい
「……状況から考えてもっと短い。三日、あるいは二日。下手したら一日かもしれない」
「それではどうあがいても間に合わぬな」
「いや待て。方法はある。
「? 分からないけど分かったかもしれない」
「承知しましたエイト様。極秘の案件として報告いたします」
「だから言うなっつってんの!」
リスクはでかいが
クラウドさんに頼るしかない。
AIトークまでなら……よしとしよう。
「クラウドさん。今日中に移送方陣の一つをこの町に描けるものって作れるか?」
『可能であると進言します。ただしマスターのマジックが不足しています。そのためマジック補充道具が必須と進言します』
「マジック補充道具? そうか! 回復薬! マジック回復薬ってこの屋敷にあるか? あるならどれだけ用意出来る?」
「ライオット様がなぜか先日より製作していたものがあります。必要材料であるメナス草とミヒラキ草を大量に入荷したとのことで……」
「おっしゃあーー! 俺の草むしり、無駄じゃなかったーーー! それ、全部渡してくれ。町を救うのに必要なんだよ」
こちらの状況が飲み込めていないのか、興味津々で近寄って来るホログラムプリンちゃん。
「ふむ? お主は魔法が使えないと申しておったが? ええい歯がゆい。状況が分からぬ! 童も混ぜよ!」
「魔法は無くともマジックを消費する方法があるってわけよプリンちゃん。ここからは役割分担だ。
「誰がプリンちゃんじゃ! 童を呼ぶならプリンシア様と呼ばぬか!」
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