第10話 消費期限
ユウキは完全に焦っていた。
ホタルを返された事は勿論だが、何より彼を焦らせていたのはブロッコリーラケットの消費期限が近いという事実である。
本来であれば、茹でた後に密閉したタッパーへ入れ、冷蔵庫に保管して日持ちさせるのがブロッコリーの保存方法ではある。
しかし、ラケットとして使用している手前、保存することはできず、スタミナ回復のために徐々に食べているのも加わり、消費期限が迫ってきているのを肌で感じていた。
「消費期限がギリギリの状態で、両津となった今の大野を相手にして勝てる確率は多く見積もって2%強・・・
今からスーパーに行って、新鮮なブロッコリーを調達して戦ったとして、勝てる確率は約8%てとこか・・・」
かなりの分の悪さに、ブロッコリー食べる手が止まらずにいた。
(俺が勝つにはこれしかない)
ユウキはおもむろに白線を引く道具を倉庫から取り出して、ベースラインより内側に線を引き出した。
彼はコートを狭くすることで、アウトにする確率を高めたのである。
それだけに留まらず、横幅も小さくすることにより、ユウキ側のエリアを小さくする戦法を実行した。
奇想天外とも取れるこの作戦は功を奏し、コートの隅ギリギリを狙う大野の卓越した技術を逆手に取ってポイントを稼いだ。
「え!?あれがアウト?まじ!?そりゃないぜ審判~」
大野は本来入ってるはずのショットをアウトにされ、不満を漏らした。
40-15
気づけば大野は窮地に立たされた。
「まじやべえって」
大野のストロークは冴えわたる、がしかし無常にもアウトのコール。
「ゲーム ユウキ」
5-6
気づけば、大野は絶対絶命になっていた。
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