第一章 理想②
「────っ!」
「────」
おそろしく綺麗だが冷たい瞳に、心臓がひやりと氷で撫でられるような感覚を覚えた。もうダメだ、という思いと共に、心臓がバクバクと悲鳴をあげだす。
(こ、殺される──!)
美咲の目を見つめる彼が、かすかに目を見開いた。やがて美咲から手を
「メノウ様……ついにお目覚めになったのですね……!」
「え……?」
さきほど感情が見えなかった時とはまったく異なり、男は
「ご気分はいかがでしょう。空腹は? 喉の
「え……えっと……」
(今、なに聞かれたの? 空腹? いや、今は空腹とか喉の渇きとかより、安心できる数メートルの
「ああ……おかわいそうに。震えて……よほどあの男たちが
「あ……えっと……ど、どうも……?」
目の前にいる危険そのものが何かを
「どうなさいましたか? ……まさか、私が分からないのですか?」
「その……す、すみません」
図星を指されてうろたえつつも、美咲は
男は息を
「メノウ様が謝罪されることなど何もございません。長い間
「護衛……?」
「はい。こうしてメノウ様をお守りできること、心から
(護衛、ということは……)
どうやらゼルは味方らしい。そういえばさっきも、メノウを守れと命じられたと言っていた。もしもメノウというのが美咲のことであれば、あの男たちを追い
(ていうか、メノウって……)
やはり聞き覚えがあると思い思考を
「ゼル様──!」
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