アーカイブ #5

 ついに小学校の最高学年になった!

 と思ったのも束の間、担任がハズレだった。

「あの先生めっちゃ怖いよねー…」「最後の小学校なのに最悪…」って声が聞こえてくる。私もその通りだと思った。眉毛が釣り上がっているせいか目力がすごい。放ってる雰囲気は鬼みたいだし、喋り方とか声も威厳があって怖い。

 しかし、しばらくして慣れてくると、案外怖くなくなってくる。その頃になると、担任の色々な噂が回ってきた。

「あいつ昨日、女子トイレ入ったらしいよ…」「えー!なにそれキモ…」「それマジ?」「なんか掃除してたって言ってるらしいんだけど…」「それでそれで…?」

 女子は怖い。すぐ影口を叩く。

 その噂話が本当なら問題だが、そもそも私は別に興味ない。でも担任は理不尽な時があるとは思う。

 それから、みんなして担任を嫌うようになり、担任をクラスで虐めるようなかたちになっていった。

 担任に向かってタックルしたり、担任の私物の水槽を割って教室を水浸しにしたり、授業中に暴言を吐いたり、担任の机を荒らしたり…

 さすがにやりすぎだとは思った。

 というか、人間が怖い。

 人間関係ってめんどくさいな。

 

 いつのまにか、卒業式が迫っていた。

 ついに中学生になれる…!小学校とはおさらばだ!


 卒業式が終わり、扉を潜った瞬間、

 私は廊下をダッシュした!

 私を包んだ風は気持ちがよかった。




 また、春がやってきた。

 柔らかい日差しと暖かい風が桜の花びらを撒き散らす。校舎は小学校よりも大きくて綺麗だった。


 中学校は小学校と違って将来に関わるから、ちゃんと頑張らなきゃ!と思い、毎日ちょっとずつ勉強してみた。すると、思ってたよりも簡単に点数を取れてしまった。数学は満点だった。

「えー!ゆあちゃん凄い!」「天才じゃん!?」なんて言われることもあったっけ。

 そんなにガリ勉ってわけでもないんだけどな…。

 この学校が阿保ばかりなだけだ。

 その分楽だから都合が良いけど。

 そういえば、中学生たるもの、部活に入らなければならない。どうしよう…

「やりたいことをやりな!周りに合わせる必要はないよ。」父にアドバイスをもらった。

 やりたいこと、か…

 パソコン部に入ったらプログラミングとかできるのかな…わからないけど楽しそうだし、入ろっと!

 軽い気持ちで入部してしまったので、結局1年経ったら飽きてしまい、それ以降は幽霊部員になった。


 勉強したりゲームしたりで、1年があっという間に終わっていた。

 そういえば今年、友達と遊んだことってあったっけ。…ないかも。

 ちょっと寂しいのは気のせいかな?



 学年が上がった。

 私の県では、2年からの成績が入試で見られる。

 気を引き締めて、日々机に向かっていた。

 ……。おかしい。

 なんだか、寂しい。


 その寂しさを紛らわすように、RPGゲームにハマる。夏休みが終わったあと、友達に布教してみたら始めてくれた人がいた。

 それからゲームの話で盛り上がったり、仲良くなったりして、やっと中学生らしく遊べた気がして楽しくなった。

 次は3年生。

 受験が控えている…

 不安になってきた。

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