アーカイブ #2

 あっという間に1年が過ぎていき、初めての『クラス替え』をした。隣からは「え〜、はなれちゃったね…」「キャー!あの人といっしょのクラスだよ!」とかって言葉も聞こえてくる。

 正直私は、親友とか、好きな人とかってよくわからない。だから、また1年間を楽しめるといいな、としか思えなかった。「好きって、なんなんだろう…」

 春夏秋が去り、寒い冬がやってきた。

 暇に明け暮れていると、テレビで書き初めの特集をしていたのが目に入った。「字、きれいだなぁ…」真っ白な紙と真っ黒な墨。艶めく穂先と滑らかな筆運び。なんとなく、心惹かれた。

「ねぇ、お父さん、お母さん!私、書道やってみたい!」そう言ってみた。

「プールも習ってるのに、習い事を増やしても良いの?ちゃんとできる?」「できると思う!」

 両親は目を合わせた後に、「やりたいならやってみよう!申し込んでくるね!」と言ってくれた。

 冬休みが明け、書道教室に初めて入った。

 先輩たちが紙と向かって、黙々と腕を動かしている。「すごい集中力…」

 体験を終えたあと、ひとりの女の子が話しかけてくれた。「こんにちは!新しく入る子かな?」「あっ、えっと…そうです!よろしくお願いします…!」外で話すのは慣れてないので、ちょっと言葉がつっかかってしまったが、優しそうな子で安心した。

「なんて言う名前なの?」「幸愛って言います…!」「ゆあ!可愛い名前だね!うちはミサ!呼び捨てとタメ口で良いよ!よろしくね!そういえば、どこの小学校なの?」「あそこの小学校!ミサはどこの小学校?」「あっち!あっそうだ、ゆあって何年生?」「2年生!」「一個下だ!かわいい〜」「えへへ…」

 そんなこんなで、緊張をほぐすためか沢山私と話してくれた。教室に入るのが楽しみになった!




 また学年が変わり、友達も増えた。

 最近はよく友達と放課後に公園で遊んでいる。

 折りたたみ式のゲーム機をよく貸してくれて、有名なサーキットレースのゲームを一緒にやる。

 それがとても楽しかった。



 今日も書道の日だ!

 もうすっかり真夏で、自転車のサドルはお肉が焼けそうなくらい熱くなってた。

 仕方ないから、立ち漕ぎしっぱなしで教室に向かった。

「涼しい〜…」教室についてるクーラーのつめたい風が、体に染み渡る。暑いせいか、先生も自分の部屋で涼んでるみたいだった。

 今日の課題を書き終えた後、いつものようにミサのところへ行き、楽しい雑談をしていた。

 この後、自分の耳を疑いたくなる言葉を聞くとも知らずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る