dreaming
アーカイブ #1
「おほしさまみたいに、きらきらしてる…」
——漆黒の闇を華麗に彩るレーザーの光、それに呼応する噴水の動きは、パワフルでエレガント。
日本一の高さを誇る噴水レーザーショーを観ていたのは、ごく普通の家族だった。
光の粒を撒くように輝く水が複雑に絡み合い、鮮やかな光と調和して美しいショーが生まれている。
「わぁ…!すごーいっ!おみず、きれーだなぁ…」
ショーを観終わって、はしゃぎ疲れたせいか眠くなってきた。妹もすっかり眠っている。
両親は幼女たちの耳元で静かに囁いた。
「おやすみ」
いつもの朝がやってきた。今日は幼稚園で写真撮影会があるので、普段よりもしっかりとツインテールを結んでもらった。「ねぇ、かわいい?」と父に聞く。「うん、とってもかわいいよ!」
「じゃあ、いってきまーす!」
幼稚園までは送迎バスで行っている。今日も先生が挨拶してくれた。「幸愛ちゃん、おはようございます!」「おはよーございますっ!」
幼稚園に着いたので、かばんをロッカーにかけておもちゃで遊ぶ。
写真を撮る時間がやってきた。写真は幼稚園の屋上から撮るらしい。
映りたがりの私は、屋上から隠れてしまうくらいに最前列に行った。
後から写真を見たが、やっぱり私は映っていなかった。
卒園式の日。
毎日何をしていたのかがあまり思い出せないが、なんとなく楽しかった。
春からは小学生になると思うと、実感が沸かない。少し不安もあるが、それでも6年間が楽しみだ!
「ゆあちゃーん!」
知らない子の声がする。
「今呼ばれてなかった?」と母が聞く。
「たぶん、べつの子じゃない?」そう言って、私たちは幼稚園から去っていった。
何故だか、少し寂しい気がした。
「おはよう!」両親に元気よく言った。
今日は待ちに待った、小学校の入学式!
おひめさまみたいなワンピースを身にまとい、ピンクと茶色のかわいいランドセルをしょって、通学路を家族と行く。交差点に淡いピンクが舞っていた。
学校が近づくとともに、小学生になるんだ!という実感がじわじわと増してくる。
坂を登りきると、そこには雲に向かって聳え立つ、大きな校舎が待ち構えていた。「おっきい…」この学校に6年間通うんだなと、改めて認識した。
スーツを来たたくさんの大人たちが、長い話をしている。言っている意味はよくわからない。
とりあえず、教室に入るのが楽しみ!友達たくさんできるかな♪
次の日の朝。
まだ1回しかしょってなかったランドセルは、中に荷物を入れるとひっくり返りそうになるくらい大きかった。慣れない通学路をひとりで歩いて行く。「もうつかれちゃったよぉ…」6年間も通えば慣れるのだろうか。
教室の前に来た。中からは楽しそうな喋り声が聞こえる。「はいって…いいのかな…?」
——ガラガラガラッ!
「わぁ!」勢いよくドアを開かれたから、びっくりしちゃった…。
「おはよう!」と声をかけてくれた。すかさず「おはよう!」と返す。そのまま、ほんわりとした雰囲気で教室に招かれ、みんなとたくさんおしゃべりした。
「しょーがくせい、がんばります!」
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