0155:トップはトップ
その後の展開は。言うまでも無い。総長戦の前のなんだっけ、突きの人、副隊長の。
(討伐隊五番隊、副長の「貫き」「突き殺し」山野慎治です)
うん、まあ、アレと同じだ。あの時から結構経っているし、飽きちゃってるので覚えて無くても仕方ない。欠伸も出るってなもんだ。
回避し、守り続ける俺。術による回復で、体力、気力、スタミナ……消耗するパラメータは常にフル回復させてある。
簡単な呪文だけとはいえ、近接戦闘しながら術を使用、展開出来る俺だからこその戦法であって、誰にもお薦めはしない。
唯一、魔力は消耗しているものの、微々たるモノだ。数時間休めば回復する程度。
あ、魔力は大抵一晩熟睡すれば、完全回復する(って俺は……俺の魔力は一晩で完全回復しているか良く判らない)。
だが、戦闘中どころか、一般生活中に回復したという報告は聞いたことがない。敵の居ない場所で、心を落ち着かせて、キチンと休息、寝なければ回復しない。
なのでさすがに、いくら心穏やかでも、今は、魔力は回復しないのだ。って、ああそうか。
何もしないで回復は無理だけど、一定時間魔力が自動回復する、術はあった。使用魔力が例えば、100なのに回復後は5分後に130位なんていう微妙な効果なので忘れてたや。
使っておこう。
この辺の術なら無詠唱、心の中での詠唱で発動出来る。無詠唱の場合、自分が名付けた名称でも術が発動出来る。リフレシュっていうのはアレだ、伝説のTVゲームでMPを回復する魔法だ。
一時期、他人の立てたダミーサーバーで遊んだことがあって、もの凄く思い入れがあるのだ(その行為が違法とすら知らなかった)。そのダミーサーバーはサービス当初のバランスやアップデートを長期イベントとして楽しむというモノで、これまたダミーの匿名掲示板情報に騙されて、峠の魔物が魔法書を落とすと言われて籠もってみたのに、何一つ落とさなかったという曰く付きの魔法だ。
というそんな知識はどうでも良くて。これで魔力も回復する様になった。うん。俺は確かに「振り出しに戻った」。でも、君はどうなのかな? 偽勇者くん。
「なぜだっ! なぜ、なぜ、なぜ」
「自分で考えろよ、間宮。お前の手下は、全員動けない。そのうち全員迷宮に飲まれるぞ? 後はお前だけだ」
「ちっ!」
うん。甲田さん、ノリノリである。さっき「氷河」で凍らせたヤツラは一部緩めてある=動いているので実は迷宮に呑まれることは無い。うーん。そのまま完全に凍らせて迷宮と共に生きていってもらってもいいんだが、間宮を生かしている以上、ヤツラを簡単に殺してしまうのは違うだろう。
ガイン……
衝撃音と共に、再度、偽勇者の剣が俺の聖剣(なまくら)様に食い込む。食い込むのは、向こうの刃が欠けていることを表している。多分、あの剣も西洋剣の形はしているが、かなりのレア度だ。一流の日本刀、薙刀と同じ様な、一流の職人が鍛えた業物だと思うのだが……俺の骨、肉どころか、皮を断つまでに至っていない。
右から左へ。流れた刃はヒラリと、今度は左から右へ、手首の返しのみで複雑に繰り出してくる。それが避けられれば、さらに右から左。左から右。ああ、これ、アレか、落ち葉返しか。ちょっと違っているが、うちの流派、御厨流では落ち葉が空気抵抗でヒラヒラと舞い落ちる様を想定して、鍛錬する技だ。
うちの技は上から下へ、下から上へとランダムで派生されて繋がって行く。だが、コイツのはあまり上下に動かない。筋力で維持しているのだろうが、その負担は大きいハズだ。
ああ、いつの間に肩に乗せていた聖剣(なまくら)様を普通に構えていた。うむ。やるね。ではそれに答えて、こちらからも攻撃を加えて行こうか。
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