0141:大会日程

  本戦はトーナメント戦となっている。組み合わせはくじ引きだ。


 本戦は計五日間だが、


一日目 近距離戦一回戦 四戦

    遠距離戦一回戦 四戦


二日目 近距離戦一回戦 四戦

    遠距離戦一回戦 四戦


三日目 近距離戦二回戦 四戦

    遠距離戦二回戦 四戦


四日目 近距離戦準決勝 二戦

    遠距離戦準決勝 二戦


五日目 近距離戦 決勝

    遠距離戦 決勝


    エキシビション

    迷宮局代表VS優勝者 二戦

    迷宮局代表VS本戦参加者の中から希望者が参加


 という予定になっている。かなり密度の濃いスケジュールだが、参加者は基本、けがをしない。


 もしも何かあっても、予選と同じ様に「回復」「治癒」の術や薬草、ポーションなどの回復手段で癒される保証も付いている(と書いておけば丸く収まるハズ)。


 というか、心にダメージを負う事はあるかもしれないが、ムチャな展開にはならないと思う。


 本当の意味でヤバイのはこれを運営している迷宮局ではなく。運営を実質支える、母さんの方だと思う。


 迷宮の仕組みは神が作ったと言われている。それを、今回物量、大量のケーブルで断線覚悟で乗り越えようとしている。そのための防御強化術の規模がおかしい。その負担は半端ないハズだ。


 さらに、本戦会場に施されているのは……母さんが言った通りなら。


 参加者、本戦出場者の、実体もあるし、ダメージもあるし、殺されれば死ぬ……のだけれど、実は死んでないと位相をズレさせて無かったことにしてしまうという……多分、個人の認識をずらす幻術も使われているんだと思うが……。


 まあ、俺も何を言ってるのか良く判らないレベルの、超絶複合魔術だ。これは正直、あと何十年修行すればそんな風に魔術を使いこなせるようになるのか、良く判らない。途方もなさ過ぎてちょっと怖い。笑。


 単純な幻術では無いし、どこからどうすればそうなるのかも良く判らないが、母さんはそれをやろうとしているし、多分、やってしまうのだろう。


 判っているのは。確実に、今回の武闘会は母さんに対して凄まじい負担を強いるハズだ。間違いない。それこそ、チラッと聞いた限りでは、精神界に実体を置いて、魔力との親和性を上げてから術を使う……らしい。


 それっていうのは、そもそも、人間では無くて、精霊とか妖精とか、そっちの種族の人のやり方だ。その方が力が発揮出来るって……まあ、気配からして人間なのは間違いないんだけどなぁ。


 と思うと、俺が迂闊に魔術の進歩率が低い……なんて気軽に言ってしまったのを後悔してしまう。多くの事を考え、そして最適解だと思っていたのだけれど。実はそこまで有効的じゃないのかもしれない。


 まあ、その分、キチンとお手伝いしないとなんだろうな。うん。


 本戦出場者はこうしている間にも、決まり初めているが、予選会場、地方によって偏りは出てきているようだ。


 迷宮やエリア毎に実力差が明確に出てしまうのは当然として。武器の傾向も大きい。それこそ、甲殻系の固い甲羅を持つ様な敵が多く出現する迷宮からの参加者は、両手鉄槌、ハンマー等で戦う探索者が多い。


 だが、どんなに実力者でも両手鉄槌の様な重い武器は、速度を重視した武器で攻められるとなす術無くなってしまう。「当たらなければ、ダメージはゼロだ」っていう有名な言葉通り、ヒットアンドウェイを繰り返されれば、最終的には負けだ。


 アーチャーや魔術士が少ないエリアでは、遠距離戦に各種前衛、剣士や戦士が多数参加しているケースも多い様だ。で、勝ち抜いた、までは良くても違うエリアの勝者と対戦したら、駆け寄る前に瞬殺……なんて笑い話も聞こえてくる。


 うん、そもそも、ルールがずざんというか、レギュレーションが適当というか。俺も口出ししておいてなんなんだけど。


 多分、ロールをキチンと想定して、職業毎の枠を設けて、その枠毎に対戦ルールを設定しないとダメなんだと思う。

 でもなぁ……そうすると枠によってはとんでもなく地味な戦いになる……よなぁ。それによって人気の職業と不人気の職業ができても……しょうがないか。

 

 正直、現状は冒険者の10人中8人がアタッカー、攻撃系だと思う。脳筋ってわけじゃないけど、全員が何らかの攻撃手段を持っている。でないと怖いというか、落ち着かないというか。気持ちは判る。


 迷宮において何か一つの力に振り切るのは、非常に度胸が必要になる。


 結果、中途半端になっていることに気付いて無いんだよね。


 当然だけど、キチンと分業化してないのがなぁ。的場さんみたいな専業盾、守護者……は最近やっと確立してきた。まだ本当にレアなのだ。ワル目立ちする。ああ「偽勇者」に目を付けられる要素は最初からあったのか。




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