0139:予選開始
予選がスタートした。日本全国の迷宮毎に激闘が繰り広げられている様だ。
予選は映像の撮影、中継等は行われていない。
ちなみに残念ながら、甲田さん、的場さんは池袋迷宮の予選で敗退してしまった。ちょっと考えが甘かった。だってよく考えれば、今回の大会はとんでもないコトになっていたのだ。
ガチもガチ……それこそ、命がけで大会に挑む者が非常に多かった。
ファッション探索者って沢山いたと思うんだけど……。見たことあるし。なんなら命を助けたのに絡まれたこともあるし。そんなのが目立たないくらいガチばかり。
本戦出場は近距離戦16名、遠距離戦16名。トータル32名。現在、迷宮局の資料によれば、探索者免許所持者は全国で約50万人。実際に稼働している、アクティブな人が、その半分の25万人と言われている。
今回、おおよその参加者はそのまま、約25万人と発表された。え? マジデ? 全員?……つまり、探索者として活動しているような人は全員参加したらしい。それは多いて!
ちなみに、迷宮局で予想していた参加者数は、約五万人だったそうだ。それにはそれで理由があるらしいが。まあ、大ハズレだ。
なんていうか……探索者という職業は、未だに、フリーターの一種、暴れ者の末路、保険が使いづらい……なんていう……一昔前の非合法な暴力団系組織の構成員の様なイメージが付きまとっていたのだろう。それこそ、経済活動として非常に有用で、現代日本を、文字通り命がけで支えている尊い仕事……と言われてもピンと来ない場合が多い。
それこそ、田舎の両親にそれを理解させようとするのはそれなりに無理がある。日本以外の国が、国として機能を失いつつある現代で、未だに公務員が安定だと思っている人が多いのだ。
そんな認識しかない社会に対して、探索者達はとにかく何か肩書きが欲しいと思っていたのかもしれない。なので、こういう明確に実力が反映される場所に餓えていたのだろう。本大会は異様な盛り上がりと、熱意で受け入れられていた。
ということで。本戦出場は二十五万分の32の確率といえる。
別に甲田さんと的場さんの二人に実力がないとは思わない。正直、「スカウト」と「守護者」というジョブ限定の特殊バトル(時間内に敵を何体発見出来たか? とか、敵の猛攻にどれだけ耐えられるか?)であれば本戦決勝で戦えるレベルだと思う。
が、勝ち抜き戦である以上、ここまで分母が多いと勝敗は対戦相手に大きく左右される。
まあ、更にはっきり言って相性の悪い敵と当たってしまった。
そもそもスカウトは不意打ち、奇襲が基本戦略で、こういう「今から攻撃しますよ?」っていう戦いには向いてない。
守護者は防御は出来ても、決め手が無ければ少しずつ削られていく。魔術による回復手段も無いわけなので、時間無制限の今回のルールだと、ダメ蓄積による敗北確定してしまう。
因みに、甲田さんは鉄鞭使いの全方位攻撃&防御に為す術無く絡め取られ、的場さんは薙刀使いに時間をかけて、チクチクやられてしまった。
アドバイスも何も、仕方ないので何も言えない。
なんだ、全体的なレベルを上げて、自力を上げていくしかないだろう。部門別なら〜というのは、判って参加したのだから、言い訳にしかならないわけで。
そんな中、本戦予選を遠距離戦部門で「キラキラ」ヨスヤが勝ち抜いていた。さすがだ。まあ、あれだけ実用的な技が使えれば当然か。彼女はスカウトの能力よりも、アタッカーの能力の方が高い様だし。森の中での戦闘なんて……独壇場だな。
決勝まで行ってくれると盛り上がりそうだ。見た目の悪い出場者より、見た目の良い出場者の方が受けが良いのは間違いないからなぁ。
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