0138:魔力
(甲田さんは、森に向かって移動して、舞台を強引に自分向きにしてしまえば、そこそこ勝てる気がする。まあ、山岳や密林じゃないからね~どうしても姿を現す必要があるし……正面から一対一の闘いだと……上位に食い込むっていうのは中々難しいとは思うけど)
「はい」
(的場さんは盾だけど、バトルセンスが高いから槍とか使っても面白いかもね。片手槍)
「あ、短槍は昔使ってましたね。ちょっと良い剣を手に入れてから、そっちばっかになって。確かに、その通りかもしれません」
(あと、棘付きの盾で敵を攻撃するとか。バッシュとか盾攻撃はポイント高いよね。魔術を使えるともっと勝ち筋が見えるんだけど)
「ですね……術はいまさらなので、バッシュを練習してみます」
(で……なに? 私は、私はって顔は)
「わ、私も何かアドバイスを」
(というか出るの? 戦闘の基礎もないのに)
「で、出ませんけれど、二人と同じ様にアドバイスを」
(魔力の認識は? 出来た?)
「は、はい、出来ました!」
(どんな感じで?)
「えっと、ぽあぽあっとしたのがお腹の辺りにある感じでー」
(で?)
「ま、まだ、それ以上は」
(じゃあ、それ以上になるまで、ずーっとそれ。大体、1日十時間やり続けて、二年くらいすればどうにかなると思うよ)
「ガーン」
「それは我々も……ですね」
(ああ、そうだね。甲田さんも的場さんも。少しは魔術を使えないと、この手の大会では上位入賞できないだろうから。今後)
「それは……その通りですね」
「はい」
(魔力がそこそこ増えてくれば、お漏らしみたいに迷宮外でも訓練出来るようになるから)
正直、ビックリしたのだが、既にお漏らしは「迷宮外」で魔力を感じ取れる程度の魔力を持っている。初期レベルではあんなに魔力欠乏で倒れていたにも関わらず、現時点でもそこまで高レベルではないにも関わらず、先輩二人よりも確実に、魔力が多い。
さらに、魔力を感じ取るセンスも悪くない。繊細……というか、魔力に対して凄まじく敏感だ。これが天才というヤツなのだろうか。お漏らしのくせに。なんとなく腹が立つ。
っていうか、まあ、元々回復系の術は使えるみたいだし(姉にアドバイスされて、なんとなくやってたら「あれ? これ回復の術じゃね? となったらしい)、記憶能力はスゴイからなぁ。
それこそ、迷宮学部で首席クラスってことは勉強関係も凄まじいというか、同年代で確実に世界上位の頭脳だと思うし。ここにいるとその片鱗はこれっぽちも見えてこないけど。
「まあでも……著書に寄れば、「張角」宮沢賢太郎さんでも、はっきりと魔力を感じられたのは、魔術を意識してから約五年後とのことでしたから……靖人様の教え方は最適な理を解いていると感じます。感じます。じんじんきます」
そういって、股間に手を当てて腰をくねくねするお漏らし……というか、どうしてこんな娘に……なってしまったのか。
(なぜ二回言った。このエロお漏らしが)
「がーん、お漏らしだけでも酷いのに、エロまで付いてしまった……」
(エロイだろ! 犯罪なんだぞ! 16歳に対してそういうのは!)
「ガーン、確かに……国に禁じられた恋だったとは……ううん、詩織、負けない! 伴侶、恋人は無理でも……せめて一度、いや、せめてキスくらいは……ああ、全然諦められない! がんばれ、私。靖人様の心は無理でもせめて体を! 体を! まずはエステ……痛くて諦めてた脱毛をして……あ! 靖人様はVゾーンに毛が無いと萎えちゃうタイプですか? ツルツルでいいですか?」
(……何聞いてんだよ……だから、未成年にそういうのを聞くだけでも児童虐待なんだからな)
「え、ええー厳しい……っていうか、靖人様は私よりも確実に年上だと思うんですけど……魂の年齢というか……。うーん。説明しづらいですけど」
うわ。コイツ……多分、魔力に目覚めたことで、色々な……それこそ、魔力による感知、それこそ、他人のオーラを見る、アストラル的なアレを感じる的なことが出来る様になってるな……。まあ、そうだろうなぁ……オーラで見たら俺は尋常じゃ無い年齢だろうし……。
「なので、違法じゃないのです! これは絶対です! お願いします。まずは嫁でお願いします! お願いします!」
(嫁からっていうのが既にハードル高くね? そこはいい加減諦めろよ……そろそろ。そして二回言うな。それにしも。性格……確実に変わったよね?)
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