0137:レギュレーション

 後日、レギュレーションが発表され、無事、近距離戦と遠距離戦の二つの区分けが記載された。良かった。


会場:日比谷迷宮第一階層特別ステージ


・近距離戦

時間無制限、ノックダウン制、事前準備禁止 対峙30メートル位置にて試合開始。武器防具、魔術使用等、制限無し。


・遠距離戦

時間無制限、ノックダウン制 事前準備有効 対峙1000メートル位置にて試合開始。武器防具、魔術使用等、制限無し。


 えーと。近距離戦は、主に武器での戦いがメインになるだろう。スキル、ギフト、魔術なんかは戦闘中に掛けていく事になる。


我が主君マイロードの様に剣で戦いながら魔術を使えるなんていうのは、あり得ないですし、普通は発動まで時間が掛かるので使えません」


「まあ、近距離戦は単純に武術、攻撃力勝負になりそうな。進次郎はこっちか?」


「ああ、そうだな。宗一は?」


「俺は……迷うな、しかし。日比谷迷宮の第一階層ということは……」


「出張所を出た辺りは花壇。そして森と丘隆地帯ですね。中央に丘。その回りが森です。多分、近距離戦は丘。遠距離戦は森での戦いになるかと思います。デートとかいいですよね……花壇で。靖人様とデート。そして、デートしながら……」


 っていうか、お漏らし……パーティ会話じゃなくても漏れてないか? 心の声。人前でイロイロと漏らしそうなんで怖いんですけど。


 確かにね〜アタッカーならもう、確実に近距離戦だけどね。弓使い、魔術士なら遠距離戦しかない。だけど。盾は。この手の1ON1な大会には不向きだよね。


(今回は仕方ないけど、今後はジョブ毎とか……最低でもロール、役割毎での区切りとかはあるんじゃないかな)


「そうなった方がうれしいっすね、個人的には」


 そうね。的場さん、盾的にはそりゃそうね。


 まあでも何よりも。今回は魔術がスゴイって所を見せなければならないようだ。そのために母さんがとにかく急がせた。運営に余計な事を考えられるほど余裕がないのだ。


 取り合えず、俺は大会運営事務局から何かと依頼を受けた、ということにした。


 なので大会には参加しない、出来ないということは大前提として言ってある。深く聞いてはいけませんよ感を出したことで、誰も何も聞いてこない。うん、大人だな。みんな。


 そして……その俺への依頼は。


 万が一の対応。これはまあ、うん、母さんが動けない以上、日本という国全体に対して、何かアクションを起こしてくる可能性のあるヤツラが幾つか存在するんだそうだ。真白さん談。

 それが……まあ、ぶっちゃけ、他国の軍隊などが日本に攻め込んで来た場合の対応……を任されてしまった。というか、母さん、そんなことしてたの?


「にしし。万が一だし~」


 そうであって欲しいよ。本当に。というか、大事なのは、母さんもそういうことをしていたのかどうか? なんだけど。その辺は誤魔化されてしまった。


 迷宮局のゆるキャラの「迷宮ネズミのメイキュくん」の着ぐるみ外装を着て優勝者、及び、上位入賞者の中の希望者とのエキシビジョンマッチが決定した。


 どうしても、鼻っ柱をブチ折って欲しいらしい……。


 因みに近距離戦、遠距離戦の両方で、だ。


 迷宮局的には優勝者決定~記録には残らないけど、着ぐるみ着てて誰かは分からないけど~討伐隊の誰かがエキジビションで、上位入賞者全員をボロボロに→迷宮局スゴイ→順次魔術の基礎情報開示、ものすごく受け入れられやすい。という目論見らしい。


 そのため、事前にメイキュくんの中身は討伐隊のエリート&迷宮局の最新研究の成果、魔道具の効果の結果として発表される。で、まだまだ不確定で公開不可能な情報も多いと言い訳もしておくとのこと。


 メイキュくんの着ぐるみ外装は魔道具で、ある程度の身長体重の増減が可能だそうだ。なにそのムダに高性能。一度着てみたが、マジで超レアな魔道具で、ほぼ着ている感触が無い。視界も妨げられない。その時は俺の軽装系の装備の上に着たのだけれど、ほぼ着ぐるみの感触が無かった。


 母さん……大賢者様の魔道具作成の実力、本気ってやつだ。外側はハムスターとマウスの合いの子みたいな可愛いセンスの無い外見……あ、いや、それも母さんらしいや。


 俺が子どもの頃に……書いてくれた象の絵は……灰色の……カバと犀と豚の混ざったような生き物だった。象の特徴である長い耳と鼻が無いヤツ。



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