お漏らし探索者腕輪レポート①▶－－－－－－－－－－－－－－－－－－

　腕輪。野外フェストとかイベントか何かでチケット替わりに使われる（らしい）、シンプルなシリコンバンドに似た探索者の証です。

　基本は黒色ですが、お金を払えば違う色も選べます。今は白、赤、黄、橙、緑……季節限定、イベント限定色もあり、実費（この手の本人の希望による交換は数百万円かかるらしいです。故障などの必須な交換は10万円固定）で交換が可能です。

　これには「迷宮局からの個別告知機能」が付いています。境目が分かりにくいのですが、小さい画面？　カラーではなく……モノクロの表示画面が組み込まれているので、ここに、最小限の文字情報が送られて来ます。迷宮内では携帯、スマホ、携帯端末は全部使えないため、最小限の機能を持たせたとのこと。

　探索者腕輪と呼ばれているこの腕輪は厳密にいうとハイブリッド魔道具になります。迷宮内では魔道具として、外では個人認証用のICチップが動作するらしいです。探索者は基本、この腕輪を外しません。迷宮内でしか外せないという制約以前に、今の世の中、常に付けていた方が何かと便利だからです。

　付けっぱなしで痒くならないのか？　汚くなったら？　なんて海外からの質問が話題になったりもしていますが、実は定期的に、微弱ながら清浄の術が発動しているので、汚すこと自体が難しいのだそうです。清浄の術がカバーとなっているからか、アレルギーとか痒くなったなんて情報も見たことがありません。

　着脱は魔道具らしく、本人以外には行えなくなっています。本人が自分の意志で「外そう」と思わなければ外せないのです。不思議です。実際に試してみました。その通りでした。催眠や魅惑などで操られてしまった場合はその限りではないらしいですが……外せたところで他人には使えないし、内部はブラックボックスになっていて、解析も出来ないそうです。

　日本では、この腕輪が実質的な探索者免許証となっています。ある意味ステータスアイテムですね。腕にこの腕輪があると、一般の人には憧れの目で見られ、それ以外のアレな人たちには畏敬の目で見られることになります。

　当然、自動車の運転免許証と同じ様な身分証明アイテムとして、公的に認められています。

　実質的に、というのは、真の探索者許可証はA5サイズの特殊紙製の方だからです。持ち歩きには不便なですからね。医師免許とか、調理師免許と同じ感じでしょうか？

　なんでそんな事になっているかというと、「魔道具」という未知のワードに、個人情報の電子化すら乗り越えられていなかった世代が反発した用です。頭の固い国のお偉いさん（お爺ちゃん議員が魔導具を信頼できない！　とか言ったようです）対策に迷宮局側が妥協した結果が、その紙の証だったと。今ではあっても意味の無いモノの代名詞になっていますね。

　探索者腕輪の機能を詳しく解説しましょう。

①個人認証：世界最強の！　個人認証だ！　パスポートいらずとはまさにこのこと

　迷宮外でも使用可能の個人認証アイテムです。根本は魔道具部分で制御されているためブラックボックスになっており、DNAレベルでデータが保障されてます。住民票や、社会保険番号等の国民番号関連は当然として、さらに公的な電子情報を付帯する事が可能です。運転免許証、パスポート等の証明書、資格免許情報が全て電子化されている日本において、それらを全てひとつにまとめる事が出来るのは探索者腕輪のみになっています。

　世界で一番信頼できるID、ドッグタグとも言われており、海外で個人認証に腕輪を使用すると（本物と確認されると）、一瞬でVIP扱いされるというのは有名な話です。

②電子マネー取引：これまた世界最強の！　電子マネー取引

　迷宮外でも使用可能です。クレジットカード、交通系ICカードの上位互換と思えば間違いないでしょう。

　こちらも各種サービスを統合可能。世界最高の個人認証を裏付けに使用しているため、信頼度=使用可能店舗数は多く、既に日本国内なら89%。海外でも67%という、日本独自の規格としては脅威の普及率となっています。

　迷宮局からの報酬も当然このシステムで支払われます。

③保存庫：探索者には必需品というか、武器の携帯の為にも必需品！　保存庫

　迷宮内のみ使用可能です。ストレージ。収納、アイテムボックス……様々な呼ばれ方をしていますが、簡単にいえば、某猫型ロボットの四次元ポケットです。腕輪を着けることによって、有限ですが、魔法の収納袋が使用可能となります。アイテムの出し入れは迷宮内限定。そのため、迷宮を出る際に武器を保存庫に格納し、それから外に出ることになります。

　腕輪を着けた本人の所持魔力によって許容量が変化するため、低級の探索者は少容量しか保存できないことが多いです。

　初心者で購入した武器が自分の保存庫に入りきらないなんて場合は、迷宮一階層に設置されている迷宮局○○出張所で預ける事が可能です。

お漏らし探索者腕輪レポート①▶－－－－－－－－－－－－－－－－－－