0057:特技・魔術
で。迷宮外の身体能力がそんな感じの俺の力。
御厨流の技はこういう……人の目に明るい、公的な場所ではそこまで有効じゃなかったりする。精々、某
ということで、「魔術」が俺のストロングポイントってヤツだろう。
正直、ほぼ全属性の術が同じ様に使えるのはどう考えても異常だ。
魔術には属性が存在する。本来、自分に向いている、所持している属性の呪文しか使うことが出来ない。例えば水属性を所持していれば、水の呪文は普通に使えるが、他の属性の呪文はほぼ使えない。消費魔力が大きくなったり、呪文を詠唱しても成功しにくいのだ。
ただ、稀に、二属性を使いこなす者も存在した。さらに三属性も伝説レベルではあるが、記録に残っていた。
だが、全属性は……正直、お前何言ってんの? レベルだと思う。
現状初級の全呪文が形になっているということは、レベルが上がれば自然に、いや、今では。魔力がある以上、少々無理すれば中級、上級の術も使えるハズだ。必要なルーンは全て覚えている。
それにしても自分には使えない属性の呪文まで覚えて、いや、脳に刻み込んでいるというのは……人としてどうなのだろうか? いくら昔から、コツコツと地味な反復訓練が苦にならなかったからといって、我ながら怖い気がする……。
魔術には地水火風の基本属性に加えて、炎、氷、雷、空、光、闇の上位属性。全部で十の属性が存在する(炎と氷は、火と風、水と風。雷は土と風の複合魔術なので、厳密には八つなのだが)。
水の魔術士がほんの少し、風属性も所持している場合。風属性はあまり使いこなせなくても、氷属性を扱えることがある。
さらに、光、闇の二つは他属性の魔術を使用していると後天的に使える様になった例もある。
俺は現時点で「空」を除く九属性の術を使用可能だ……どんだけ……。
まあ、個人的に一番気になっている空属性。空間属性の呪文は現在でも、未だに使用不可能のままだった。魔力がとにかく多くないと術が発動しないという特徴がある……ので仕方ないのだが。
ただ、俺がほぼ常時使っている周辺感知能力は、この空属性に関係する能力だ。感覚的に術じゃない、というだけで。なので、既に馴染んでいると思っても問題無いだろう。これを鍛えていけばいつかは……と思っている。
それにしても……現時点でも俺の魔力はかなり多い。世界でもかなり上の方だと思う。にも関わらず、空の術は使えない。どんだけ条件が厳しいのか。
で、ステータスを見ることが出来ないのでハッキリとは分からないが、レベル的には20〜30の間といったところだろうか?
が。術を隠したら。迷宮内で、素の状態では思い切り弱者だろう。
(五番隊、副長の「貫き」「突き殺し」山野慎治です。学生時代に突きで対戦相手を殺しています。以来、対人で突き技が使えなくなったと聞きましたが)
目の前に立つ武人。身長は185センチ程度。うん。戦闘者として良いガタイってやつ?
(へー、ならそのイップス。解消されたかもよ)
(なんと)
(だって明らかに貫いてる。狙ってるもの。あの振り。突き技を)
(!)
さすがに、手に持つのは木刀。だが。
(どう見ても使われているのは迷宮産の木材だよね?)
(……トレントの枝でしょうか。黒トレントでないだけマシかと)
(うーん、それってさ、殺傷能力バリバリだよね?)
(ご注意を)
討伐隊の戦闘服は見た目、濃い赤。臙脂色に艶消しされた銀のラインが入っている。カーボンや、新金属で編まれた防刃、ダメージ減少の新素材で作られた生地が、その色に染められているそうだ。流れる血の色に一番近いということで選ばれたらしい。我々が今ここに立つのは、過去に流れた隊員達の血の結果。ということだそうだ。
基本的なシルエットは、アメリカ海兵隊の超薄型のパワードスーツに似ている。マリンスポーツで使われるウェットスーツに、服的な装飾、プロテクター、パッド的処理が施されている。んーと。分かりやすいのは……超絶実用的、地味な配色の薄手の特撮ヒーローと言った処か。
外見はそんな感じだが、迷宮素材をこれでもかと使用している。かなり高レベルの魔物の皮から抽出された混合練成革で、スライム素材を練成したゲル状の緩衝材を編み込んでいるため、耐衝撃、耐貫通性能は抜群。至近距離でのライフル弾ですら撃ち抜けない。迷宮外でも現時点で世界最強軍用装備のひとつと言われている。
最新のスポーツウェアタイプの防具に比べれば、肩や肘、膝に補強が入っていてゴツい。軍服と、特殊部隊のいいとこ取り? なデザインとでも言おうか。正装の場合は、この装備の上に同系色のショートコートかマントを着用する。
彼らは公的な行事から、討伐隊任務まで全てこの装備で行う。そのため、密閉されている(ムレムレしやすい)と思われるデザインなのに、通気性というか、常用性能は高いそうだ。うーん。イロイロ付与されてるんだろうなぁ。【状態維持】【耐熱】【耐寒】とか。
迷宮の守護神として世界に知られたその姿は、正直カッコいい。濃い赤一色のヒーロー系兵隊と思えば、そりゃーねっていう。そもそも、正義の味方だしな。
あ。俺……ワルモノじゃん……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます