0014:霊園
巣鴨迷宮周辺、この辺に人が少ない理由の一つに、駅前、駅近のこのエリアに霊園があるのも関係している。迷宮の南東すぐのその場所は、この時間になると本気で人がいない。そこそこ大きいので、いくつかの公道の他に、通り抜け用の私道もあるのだが、当然ながら誰も歩いていない。朝ならともかく夜はジョギングしているランナーも見えない。
街灯がポツンポツンと灯っている。
さっきまでの……国道沿いの明るさは、いった何処へ? と言いたくなるレベルの閑散とした雰囲気だ。しかも霊園。お墓でぎっちりである。確か有名人も多数眠っているハズだ。
「ふざけたまねしてくれたな?」
「……」
立ち止まると、頭の悪いセリフで、軽装フル男が声をかけてきた。いくら人がいないからって初っぱなから怒鳴ってる……うーん。なんの威圧にもなっていないが、まあ、俺は怒ってるよってことなんだろうな。
ぶっちゃけ、こういう状況になった場合。特に相手が複数いるなら、即ダッシュで逃げないとダメだと思う。駅とかまで逃げれば、確実に交番があるはずだ。自分がとんでもなく強い……としてもそれはそれで過失傷害とか……巻き込まれで面倒な目にあうこと間違いないし。
って、じゃあなんで俺がつきあっているかと言えば。ちびっとムカついてるからだ。
だって……助けてやったのに……絡んでくるって。完全に逆恨みじゃん。ねぇ。まあ、こいつら気絶してて知らないだろうけど。あれ? 理由になってないか……。
「うちのパーティメンバー……いや、俺の女を泣かせやがって」
ほほう。そうか。そういうことか。彼女さんだったのか。さすが、ファッション探索者。
彼女と一緒にデート気分で迷宮冒険って……ちょっと前に女性誌で特集されてたな。一歩間違えれば二人で仲良くご臨終なのに。普通に考えておもしろ半分で潜って良いことは無いと思うんだけどなぁ。
ああ。大学のサークル活動って可能性もあるのか。各大学に複数あるって聞いたしな。さらに、迷宮学部も続々と設立され始めているし。
楽し……そうかな? 死ぬのに? まあ、最近日本での迷宮関係の常時死亡事故確率は交通事故レベルになりつつあるからなぁ。他人事なのかもな。死ぬときは一気に大量に死ぬのに。
まあ、情報の出きった迷宮の浅い階層で絶対に勝てる、たまにかすり傷くらいは受けるけどっていう戦闘を繰り返す……なんていうのは、なんらかのスポーツイベントに参加するとか、そういう感じなのかな? なんだっけ、吊り橋効果じゃないけど、命がけの時間を共有するっていうのは二人の絆を深めるってことに成るようだし。うん。
それにしちゃ、魔物をぶっ殺してる時点で残酷だと思うんだけど。方向によっては血塗れになるし。魔物は生き物だとは思われてない説も根強いな。レクリエーションの……それこそ、バーチャルな敵というか。
大氾濫での被害で何千人と死亡、万人単位で被害者が出て、魔物も迷宮の外に出てきて暴れ、討伐されて、死骸を燃やしてるのに? その辺、目を瞑ってる? 少なくとも何か理由が無ければ迷宮に関わらない方が真っ当な人生って気がするけどな。
「ビビってしゃべれねぇ様なヤツが、いきがってんじゃねぇぞ!」
……うーんと。うーんと。なんていうか。ええ。どうにもならないよね。これは。誤解とか誤解じゃ無いとかそういう問題じゃないし。
俺に言葉で説明しろって言われてもだしな。だってこういう状態の相手を怒らせずにキチンと状況説明が出来る……ワケが無い。そもそも、向こうがやる気満々だもんな。
「柳、俺が押さえる」
お。重装フルだった身体の大きい方の男がしゃべった。うーん。とりあえず、バカ二人と。どうしようかな。面倒くさいな。凄く。連絡したとはいえ、早く帰らないと心配するしな。ばあちゃん。
というか、作戦……とは言えない様な作戦とはいえ、口にしてしまうのは……なんていうか、本気のバカなのだな。まあ、こんな理由でケンカを売ってくるレベルの探索者……というか、イキリ系大学生なんてそんなもんか。大学生って大人じゃ無いのか。
2対1ってことで余裕ぶっこいてるんだろうなぁ。そうだね。普通に考えて……重装フル男は多分、身長190センチくらい、アメフトかな。その筋肉の付き方は。重装着てた時は判らなかったけど。倒れてたし。
軽装フルも180はある上に……うーん。こっちは格闘技か。アレ? でも剣を装備してたよな。確か。アイアンナックルとかの方が強ぇんじゃねぇの? って……街灯に手が光った。外だとそれを握るんだ。メリケンサック。笑。
ダッ!
重装フル男が数メートルあった距離を一瞬で詰めてきた。タックル。おお。スゴイ。あの巨体をそこまで縮めて……大迫力ってヤツだ。レスリングも経験してるのかな? そうか。そりゃ自信もあるわな。俺みたいな小兵なんて、片手で制圧できちゃうイメージなんだろう。
でも。捕まらなければどうということもないよなぁ。
-----------------------
おすすめレビューに★を三ついただけるのが活力になります!
ありがとうございます!
さらに、おすすめレビューにお薦めの言葉、知らない誰かが本作を読みたくなる言葉を記入して下さると! 編集者目線で! マネージャー目線で!
この小説が売れるかどうかは貴方の言葉にかかっていると思って!
やる気ゲージが上がります。お願いします!
■宣伝です。原作を担当させていただいております。
無料です。よろしくお願い致します。
[勇者妻は18才 第1話] | [ゆとり]
#Kindleインディーズマンガ で公開しました。
Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒
「直リンしちゃいけないんですってググってね」
そして、自分は手伝った程度ですが、こちらも。
[メロメロな彼女 第1話] | [ゆとり]
#Kindleインディーズマンガ で公開しました。
Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒
「直リンしちゃいけないんですってぐぐってね
単行本一巻、二巻もよろしくお願いします。
ブースで売ってます。
「直リンしちゃいけないんですってぐぐってね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます