0013:巣鴨迷宮
魔石は合計で7万円にもなった。一か八かの勝負過ぎたので二度とゴメンだけど。
探索者になってからの儲けは大体、一日で2万円ちょいだった。これだって、10級探索者の稼ぎとしては多い方なのよ?
因みに、通常の魔石や素材は迷宮局出張所以外の店、ネット等でも売却できる。総じて迷宮局よりも金額は高い。だが、ここでの買い取りは、貢献度というポイントが賦与されるのだ。貢献度は探索者免許の級上げで必要となる。なので大抵の探索者は魔石も素材も丸投げして精算してしまう場合が多い。
「明日以降の状況に関しては、現在予想が付きません。ちょっと時間がかかる可能性もあります」
そうなのか。三番隊が動いて……しかも副長の「鬼斬」真藤まで出張ってきていてもヤバイ感じなのか。うーん。そりゃ困った。というか、しばらくは巣鴨は通常営業じゃないかもな。
「今日の所はお休みください。お疲れ様でした」
「は、はい」
こちらも頭を下げて、窓口から離れる。
大門。現実世界と迷宮を区分けする門だ。一見とんでもない分厚さの鋼鉄製の門……に見えるけど、実際には、ミスリルと、なんとかって迷宮産の新しい鉱物を配合して出来た最新合金で出来ているので、鋼鉄より、遥かに軽い。さらにその表面や全体が魔術によって強化されている。大きい魔道具だそうだ。
その大門をくぐり抜けると、即、迷宮局出張所内の玄関スペース? に出現することになる。
普通に開閉するのでは無く、常に閉まっている。ではどうやって大門を出入りするのか? 魔力だ。ほんの僅か……それこそ、免許を持つ探索者は魔力に目覚めている。大門は微弱であっても、魔力を持つ者であれば通り抜けることが出来る。
そんな大門、迷宮への地上での入り口は……直径1㎞程度の円形の壁が囲んでいる。この魔防壁(魔物氾濫用防壁)への出入りには、探索者腕輪が必要になる。
右手に付けているこの腕輪は魔道具で、個人認識証にもなっている。これを付けていれば魔防壁内に入る事が出来る。
どの迷宮も、いざという時のために魔防壁で囲われている。外から……というよりは、迷宮が大氾濫で崩壊し、中から魔物が溢れて来たらそれを食い止めるための防壁だ。
この魔防壁門で腕輪チェックすると、出入り口が開けられる。迷宮局の警備担当による手動だ。顔認証とかいろいろやってるんだけど、最終的には人間なんだそうだ。
ちなみに、出張所から迷宮への出入り口にも探索者腕輪の認証装置が設置されている。異常に高いセキュリティのおかげで……日本は迷宮産業で世界の追随を許さないレベルで飛び抜けているのだ。
念のためと思い、大門から出るギリギリで装備を保存庫に入れて、普段着に着替えた。
まあ、出張所で時間は取られてしまったけれど、早く切り上げて戻ってきたせいで、本来の帰宅予定時間からはそこまで遅くなっていないと思う。
当初、出張所内はかなり混雑していたが、解放された時には既に人は少なくなっていた。大門の外、主に駐車場となっている広い敷地を、巣鴨駅に向かって歩き始める。日は暮れているが、まだ暑い。残暑というか、夏が終わりきっていないのだ。
迷宮は大抵、公園か、○○跡地なんていう、人が住んでいないエリアに出現している。住宅地にいきなり出現というケースは一つも無い(世界的に)。
現在では世界的に、「迷宮」は人口密集地域の只中にある空白地に産まれやすい、という結論で収束している。迷宮を発生させ、維持するには何らかの人間の持つパワーがエネルギー源になっているのでは? という論文も発表されているのだ。
日本に迷宮が多く存在するのも、街中に公園が多いからという理由ではないか? と言われている。
自然公園や、ジャングル、そして砂漠や山林。自然豊かで、人口がほぼ無く、広大な土地が余っている……なんていう場所に迷宮は存在しないのだ。
ここ巣鴨は、元青果市場だったそうだ。
魔防壁門を出てしばらく歩くと……うん? うーんと。ああ、そういうことなのかなぁという影が見え隠れした。
この時間帯、この辺は都内とは思えない程、人影はまばらだ。探索者の多くはそこそこ稼いでいるので車移動が多く、徒歩帰宅者は少ないのだ。ちなみに俺は車が無いどころか、年齢的に普通免許を取れないので、徒歩&電車利用だ。あ。原付免許も取って無い。
国道17号の途切れることのない車のヘッドライトと、設置間隔の短い街灯のおかげで非常に明るいのだが。
「待てよ! ちょっと付き合えや」
うーん。さすがに重装フル男は普段着か。声をかけてきたのは軽装フル男。いいなぁ。外でも着れるデザインというか、ゴツくないのに防御力は高いという新素材満載な感じ。
お漏らしパーティの軽装フルと重装フルの2人。……というか、オマエら……最初にいきなり
しかし怒ってる。何故か。まあ。泣かしたからな。パーティメンバーを。でもその前にオマエらの「命」を助けてんだけどな。俺。笑。
「……」
まあ、いいか。ここでダッシュして逃げ切ることも不可能じゃない。というか、多分、逃げ足の速さなら俺の方が早いと思う。外でも。でも、結局俺は今後も巣鴨迷宮を利用する。これでもう、一生バイバイ……とは……ならないよな。
待ち伏せとか……特に迷宮内で仕掛けられると派手な事になる場合が多い。とばっちり受けそうだなぁ。
面倒くさいけど……二人について行くことにした。
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