4月 第一週 再会という名の絶望

俺は学校行事が嫌いだ。中でも特に嫌いなのが、入学式と卒業式だ。偉ぶったじいさんの長ったらしい話を煙草も吸わずに黙って聞いているなんて拷問を考えたやつを1度でいいから殴らせて欲しいと思うくらいだ。だから俺は今屋上で煙草を吸って黄昏ている。つまりはサボっている。1本目の煙草も吸い終わり、2本目の煙草に手をかけた時だった。

「なんだ。今日は吸ってるんですね、その煙草。」

どこか聞いたことのある声の主の方へと顔を向けると、そこには蝶がいた...いやアゲハ嬢が立っていた。

「自分の言いたいことを言うだけ言ってサヨナラなんて寂しいじゃないですか、毒島ぶすじま助教?」

「おいおい、ここは関係者以外立ち入り禁止だ。お嬢さんはとっとと帰りな。」

精一杯の皮肉を込めて彼女へ告げると、彼女は一層嬉しそうな笑顔を浮かべる。なんだかとても嫌な予感がするのは俺だけだろうか。

「関係者ですよ?私、この大学の新入生ですから。」

「は、はあああああ!?」

俺の手に握りしめられていた2本目の煙草は火がつくことも無く俺の手から滑り落ち、どんどん小さくなっていくのだった。

「お、俺の煙草があああああああああ!!!!!!」

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孤毒〜カバマダラ〜 言ノ葉 隅 @koto_sumi

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