続・プロローグ 自己紹介(?)
「邪魔なんてとんでもない。俺はただ一服しにきただけさ。まぁ、お嬢さんが何をしたかったのかは一目でわかるけどな。」
俺は胸ポケットから馴染みの銘柄のケースを取り出し、その中から1本手に取って彼女に向き直る。
「へぇ、貴方は気づいても止めないんだ。私の事。」
どこか冷たさを感じる口調で彼女は吐き捨てるようにそんなことを口にした。
「今のは皮肉か?でもまぁ、俺が止めようが止めなかろうが、お嬢さんは飛ばない...いや、飛べないさ。」
「ねぇ、そのお嬢さんって呼び方やめてくれない?虫唾が走るんだけど。」
「他の呼び方を知らないからなぁ、そう呼ぶしかないだろう?」
「アゲハ...
「そうか、アゲハって言うのか。まぁ聞いたところで俺はもう煙草を吸う気分でもなくなったし、お嬢さんと会うこともないだろうから名前なんてなんだっていいんだがな。またな...いや、こういう時はさよならか。さよなら、アゲハ嬢。」
「ますます気持ち悪い呼び方をしないでよ、本当に吐いてしまいそうだから。」
「はは、悪いね。大学で蝶の研究ばかりしているからアゲハ嬢とアゲハ蝶の区別をするには必然的にそう呼ぶのが1番なのさ。じゃあな、足の震えが無くなった時は、華麗に宙を舞う姿を見せてくれよ?アゲハ嬢。」
「なっ!!だから呼び方っ!!」
美少女の叫びを聴きながら立ち去るってのも中々乙なものだな、なんてどうでもいいことを考えながら、俺の出張講義は煙草の残り本数を変えずに終えるのだった。
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