第23話 戦う盗賊の道 22
一連の騒動の結果、白金貨1000枚は盗賊ギルドの建物の修繕と備品の新調に当てられることになった。
ベルーガ商会に全て依頼することになった為、ベルーガさんは上機嫌だった。
「そういえば、新興商会の件はどうなったの?」
「すでに申請して、商会として登録されたから明日には、2人を呼んでこちらに挨拶させにくるよ。
クロームとは、話しは済んでるよ。」
ベルーガさんは聞いてなかったの?って顔で俺と父さんの顔を見る。
「何も聞いてなかったんだけど・・・」
じとっとした目で父さんをみる。
「ビアンキは、盗賊の修行に専念させるべきだと思ってな。
正直ステータスの振り方を、この前聞いた時に父さんだと、戦う盗賊の中で一番になるのは難しいと思ったんだ。
それなら裏方に、周りビアンキに集中して修行に励んでもらい、戦う盗賊の一番手になってもらうのがいいと思ってね。」
少し寂しそうな、優しい顔で父さんがこちらを見ながら話す。
「確かにそれは、そうかもだけど。
そういえば、ステータスのポイントを振り直せる道具とか魔石ってないの?」
「あるにはあるんだが・・・
零の魔石って言われる物で、スキルが消えたり、スキルレベルが下がったりするらしく、誰も使わないゴミとして、処理されてる物なんだ。」
ベルーガさんはあまりおすすめできないと言った表情をして教えてくれる。
「なるほど、父さん試してみてよ。
裏方になるって事は引退するって意味だよね。
なら最後にあがいてみない?
多分僕の予想外が合ってたら父さんが現時点で一番強い盗賊になると思うよ。」
「どういう事だい?」
「予想だけだど、スキルが消えるってのはステータスの数値が関係してる気がするんだ。
例えば、丈夫さが100以下だと剣士の即死無効みたいなのが消えるとかね。」
父さんもベルーガさんも驚いた顔をしているが、半信半疑なようだ。
「なるほど、しかしもし違った場合がきついな・・」
父さんは考え混んでいる。
「なら先に、僕が試してみようか?」
どちらにせよ。
ステータスポイントが振り直せるかどうかは、かなり重要になってくる。
レベルが、低いうちならやり直しも効くだろう。
手探りでポイントを振るのだからより良いポイントの振り方が見つかればそちらの方が重要になってくる。
「わかった。父さんがやってみよう。」
決意したような顔で父さんが答えてくれた。
「ベルーガさん、零の魔石を手に入れてくれない?
もし使えたら出来るだけ、沢山集めて欲しい。
もちろんお金は払うから。」
「わかったよ。明日には、手に入れておくよ。」
ベルーガさんは心よく引き受けてくれ、その日は、解散となった。
翌日朝から、ベルーガさんが零の魔石を届けてくれた。
父さんと二人でギルドの部屋で試す。
零の魔石は、小さな緑粒でそれを錠剤のように、口から水と一緒に飲み込むと、体が光ステータスポイントが、全て振られる前の状態になるとの事だ。
「試してみるか。」
父さんは、さっそく零の魔石を飲もうとする。
「待って、今のステータスをしっかり確認しておこうよ」
『ステータスオープン』
アサシン Lv31
力 74
丈夫さ 210
素早さ 244
器用さ 243
魔力 64
運 184
【スキル】
索敵Lv5,鍵開けLv5,マッピングLv5,
罠解除Lv5,危険察知Lv4,加速Lv4
投擲Lv5,短剣使いLv1,回避Lv1,弱点特化Lv1
ステータスを確認して、零の魔石を飲む。
体が光り、光が収まった所でステータスを確認する。
『ステータスオープン』
アサシン Lv31
力 74
丈夫さ 76 (-134)
素早さ 184 (-60)
器用さ 193 (-50)
魔力 64
運 184
ステータスポイント
244
【スキル】
索敵Lv5,鍵開けLv5,マッピングLv5,
罠解除Lv5,危険察知Lv4,加速Lv3(-1)
投擲Lv4(-1),短剣使いLv1,回避Lv1,弱点特化Lv1
どうやらステータスポイントが全て変換され、加速と投擲がレベル1下がったようだ。
「やっぱりスキルレベルが下がったみたいだな。」
父さんは残念そうにこちらを見る。
「まだポイントを振り終わってないからなんとも言えないよ。」
「そうだな。どう振るのがいいと思う?」
「とりあえず素早さ・器用さ・力がいいと思う。けどひとまず、素早さと器用さを元にもどしてみたら、予想通りならスキルが戻るはずだよ。」
父さんがポイントを振りわけ、素早さと器用さを元に戻す。
『ステータスオープン』
アサシン Lv31
力 74
丈夫さ 76
素早さ 244
器用さ 243
魔力 64
運 184
ステータスポイント
134
【スキル】
索敵Lv5,鍵開けLv5,マッピングLv5,
罠解除Lv5,危険察知Lv4,加速Lv4
投擲Lv5,短剣使いLv1,回避Lv1,弱点特化Lv1
「スキルが元に戻ったぞ。」
父さんは驚きながらも、かなり喜んでいる。
「良かっね。父さん
後は、自分に合ったスタイルに振るといいよ。」
父さんは結局力に振り、
アサシン Lv31
力 208
丈夫さ 76
素早さ 244
器用さ 243
魔力 64
運 184
ステータスポイント
0
【スキル】
索敵Lv5,鍵開けLv5,マッピングLv5,
罠解除Lv5,危険察知Lv4,加速Lv4
投擲Lv5,短剣使いLv1,回避Lv1,弱点特化Lv1
となった。
間違いなく、現時点最強の盗賊だと思う。
ちなみに俺のステータスは、
盗賊 LV11→15
力 55→75
丈夫さ 17→21
素早さ 70→100
器用さ 46→60
魔力 12→16
運 58→78
ステータスポイント
0
【スキル】
索敵Lv2、罠解除Lv2、鍵開けLv2、
マッピングLv2、短剣使いLv2、回避Lv3
弱点特化Lv2、投擲Lv2、加速Lv2
となっている。
ステータスの上がり方の傾向もわかってきた。
短剣で倒すと力
投擲で倒すと器用さ
攻撃をかわす、逃げると素早さ
弱点を狙い攻撃すると運
宝箱と罠解除をすると器用さ
のようになっている。
レベルアップまでに、出来るだけ沢山の経験や、危機になった場合に、使ったステータスの伸びが良くなる傾向がある。
「これで零の魔石が使える事がわかったから、ステータスの振り直しができるね。」
かなり嬉しい事だ。
父さんが人柱になってくれたおかげでこれからステータスの振り直しが自由に効くようになった。
「そうだな。
レベルが高い人で、戦う盗賊になるのを諦めた人たちも考え直す人がでるかもしれないね。」
「戦う盗賊が増えるのはいいことだね。
ベルーガさんに、零の魔石を出来るだけ沢山集めて貰おう。
絶対にダンジョン職には教えちゃダメだよ。」
じとっとした表情で父さんを見る。
父さんは優しいから、一応釘を刺す。
「わかってるさ、ベルーガさんに話していいんだろ?」
「もちろんだよ。
金貨100枚位渡して、とにかく集めてもらうのがいいよ。
ベルーガ商会は、もう盗賊ギルドと一蓮托生だから情報は漏らさず、協力してくれるよ。」
ニヤリと笑い父さんを見る。
「とりあえず、ギルドの事はこっちでやるから、ビアンキは盗賊の修行に励みなさい。
戦う盗賊の先頭はビアンキとみんな思って期待しているんだから、頑張りなさい。
後問題を起こさないようにね。」
少し呆れた顔をした後、真剣な顔で、頑張るように釘を刺された。
言われなくても頑張るが、今日からは二階層にいく予定なので、気合いを入れ直し父さんと別れた。
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