第17話 戦う盗賊の道16

今日は朝から憂鬱だ・・・・

アカデミーの同年代の生徒とダンジョンへ行かなければならない。

朝から母さんに、父さんの顔を立てるために問題は起こさないように言われ続けた。

父さんと共にアカデミーに向かう、途中でククリ、ニャール、ベルゴとカーターさんたちも合流した。


アカデミーは街のはずれにあり、バカでかい立派な建物で、アカデミーは全寮制らしいく、豪華な宿舎が隣に3棟ほどたっていた。


今日ダンジョンについていく、盗賊は全員で10名で全員短剣を持っていた。

多分父さんの仕業だろう。


アカデミーに入ると待合室に通され、中に入るとリエンさんと他の剣士が10人ほど待っていた。


「久しぶりだね。ビアンキ君

アレクとの試合は考え直したかい?」

リエンさんが話しかけてきた。


「忙しくて忘れてました。

辞めるつもりは全くないですよ。」

周りの剣士もどうやら事情を知っているらしく、呆れた感じが伝わってくる。


「今日は私とアレクのパーティーに入ってもらうから、ダンジョンで戦うのを見たら考え直すと思うよ。

もちろんアレクにも謝らせるから、仲直りするといい。」


とりあえず舐められてるらしいが我慢する。

「どうでもいいですけど、あいつと一緒は嫌です。」


「聞いてないのかな?

こちらの指名が通る契約のはずだよ?」

不思議そうにリエンさんが父さんをみる。


やられた・・・

俺は父さんをじとっした目でみる。


「すまない、伝えるのを忘れていたよ。」

父さんはあからさまにとぼける。


「今回だけだからね。二度はないよ。」


「さっきから聞いてたら偉そうだな、報酬もかなり払ってるってのによ。」

知らない赤髪の剣士がつかかってくる。


ククリと俺が、同時にキレそうになるが、察した父さんとカーターさんが間に入り剣士をなだめる。


だが俺は気が収まらないので、八つ当たりをしようと思いククリに向かってニヤリと笑う。


「てか面倒だからアレクとの試合、今日出発する前でどうですか?」

わざと、剣士全員に聞こえるようにリエンさんに問いかける。


「さすがにそれは・・」

リエンさんが困っていると、他の剣士が、

「いいじゃないか、盗賊が自分を知るいい機会だ。」

などと外野から聞こえてきた。


引っかかった。

内心ウキウキでさらに煽る。

ククリも俺の意図がわかり、隣で嬉しそうにニヤニヤしている。


「やっぱりダメですよね。

アレクが怪我してダンジョンにいけないと困るし、無理言ってごめんなさい。」


この言葉を聞いた剣士が怒りながら、

「お前が怪我をするの間違いだろ。

試合の件は伝えてくる。

だが怪我しようが、案内はしてもらうぞ。」


父さんとカーターさんは、困った顔をしているが、こうなったら知ったこっちゃない。


「ビアンキいいなぁ、あんな弱そうな強盗と試合できて。」

ククリは自分も戦いたいらしく、剣士連中を煽りだした。


「おい。いま何て言った?」

赤髪の剣士がククリにつっかかる。 


「この前説明会の時に、ビアンキに殴られた、弱そうな強盗って言っただけですよ。

そういえば取り巻きに赤髪の弱そうな強盗一味がいましたけど、まさか息子さんですか?」

これ以上ないほどにククリが煽る。


「お前もうちのガキと試合をしろ。

わからせてやるから。」

赤髪の剣士は額に青筋を立てて怒っている。


ククリと俺は、目を見合せニヤリとする。


ガヤガヤ騒がしかったのが聞こえたようで、アカデミーの責任者が部屋に入ってきて事情を聞き出発する前に、試合をする事が決まった。


「問題を起こさないように言ったよね?」

父さんとカーターさんが、俺とククリに詰め寄る。

「いや相手がかってにつかってきただけだよ。」

ククリと共にとぼける。


父さんとカーターさんは、ため息をつき呆れている。


準備ができたようで、アカデミーの責任者に呼ばれ全員で外の訓練場に向かう。


アレクとリエンさん、赤髪の剣士の親子が前に出てきた。

同世代のダンジョン職の人たちが観戦しにきており、周りはざわざわしている。


「試合が早まったな、盗賊は負けたら二度と剣を握るなよ。」

アレクが開口一番そんな事を言う。

「よう、強盗。

少しは強くなったか?

ちゃんと俺が持って帰る予定の剣は用意できてるか?

あと最後に死んでも文句言うなよ。」

正直俺はこいつを再起動不能にするつもりだ。

「そっちこそ死んでも文句言うなよ。」


俺はアカデミーの責任者を呼び書名を書いてもらう。


条件は5つ、

俺とククリが負けた場合、盗賊は剣を今後もたない。


剣士が負けた場合、自分の剣をこちらに渡す。


一対一で気絶するか負けを認めるまで絶対に止めない。


お互いどんな怪我を追っても相手に責任はない。


勝手に試合を止めた場合は相手方に白金貨1万枚を、お互いの所属するギルドか止めた人がはらう。


以上を書いてもらい。


俺とククリが先にサインし、アレクと赤髪の剣士にわたす。


ククリに耳打ちをする。

「あいつらは今後の盗賊の為の人柱になってもらおう。再起不能にするぞ。」

ククリが拳を付き出してきたので拳を当て気合いを入れる。


「先にどっちがやる?」

するとククリが前に出る。


赤髪の剣士も前にでたので、お互い装備を外し、木剣と木短剣をもつ。


父さんが赤髪の剣士息子を、赤髪の剣士がククリの装備を確認し試合を始める。


「お前は説明会の時、びびってたやつだろ?

一瞬で終わると思うなよ、盗賊風情が舐めた真似したことを後悔させてやる。」

赤髪の剣士がククリに叫ぶ。


「群れないと何も出来ないくせに、うるさい奴だな、死んでも文句言うなよ。」

ククリはかなり冷静に言い返す。


お互いがにらみ合い、アカデミーの責任者の合図で試合がはじまる。


赤髪の剣士が掛け声と共に切りかかるが、遠目でみてもわかる位、びっくりするほど遅い。

ククリはそれを避け、相手の手首を思いっきり木短剣で叩く。


ボキッっとでかい音がして腕がブランと途中からまがり、赤髪の剣士が悲鳴をあげる。


次の瞬間ククリは剣士を投げ飛ばし、馬乗りになり、顔面を気絶しない強さで殴り続ける。

周りがざわつき止めようと動こうとする。


「試合中だろ、黙ってみてろ。

書面も書いたろ。」

俺が声を張り上げ牽制する。


ククリは休みなく殴り続け、剣士が気絶したところで手を止めた。


立ち上がりこちらにきて、

「びっくりするほど弱かった。」

周りは騒然となり、剣士の治療をしている。


「さっさと次の試合をしよう。

辞めるならいまのうちだぞ。

俺はククリほど、優しくないからな。」

俺は前に出てアレクを見る。


「誰が辞めるか、お前たちは必ず後悔させてやる。

俺が勝ったらククリお前も俺と試合をしろ。」

アレクがククリを睨み付ける。


「万が一にもないから、自分の心配をした方がいいよ。

生き延びれたらいいね。」

ククリは残念な物を、見る目をしている。


俺は装備を外しリエンさんに、アレクも装備を外し父さんに確認してもらう。


アカデミーの責任者がこちらにきて、条件の変更を求める。

「さっきの試合は凄惨すぎる。

勝負が決まったら止められるようにしてくれ。」


「は?

白金貨1万枚払えばいいだけだろ?

契約は変えないし試合じゃなくて、死合いだぞ、死ななきゃ儲けもんだろ。

さっさと始めろよ。別にお前が始めないならこっちがかってに始めるだけだけど。」

ぶちギレながら始めるように言う。


「心配ない俺は負けないから、始めてくれ。」

アレクが余裕を見せながら責任者に合図をするように促す。


開始の合図がかかりアレクが雄叫びをあげなら突っ込んでくる。


おれはゆっくり歩きながら近く、アレクが剣で切りかかる、それを短剣で受け流す。


次々にアレクが攻撃してくるが全て短剣で受け流しながら、アレクに見えるようにあくびをし距離をとる。


「なぁ眠いんだが、そろそろ本気を見せてくれよ。」


「ふざけるな

まだ一発ももらってないぞ。防戦一方なくせに。」


アレクが、距離を詰て切りかかる。

それをよけ、次の瞬間喉を拳で潰す。

これで声が出ない。


首を押さえるアレクを後ろから蹴り、髪の毛をつかみ思いっきり引っ張り抜く、何度か繰り返し頭が、禿げてカッパのようになった所で馬乗りになる。


耳元で冷たい声で脅す、

「目を潰すのと、歯を全部抜くのはどちらがいい?」

そう聞くと、

アレクは、大と小を漏らしながら気絶してしまった。


「くさいし、ちゃんと殴れなかった・・・

最悪だ。」


アカデミーの責任者は終わったのを見届けすぐに治療にはいる。


「ビアンキは鬼だ。

あんな髪型になったら恥ずかしくて生きていけないぞ。」

ククリは驚愕の目で俺をみる。


「いやククリのよりはましだろ。

手を抜いて気絶するまで殴るなんて。

前歯半分なくなってたぞ。若いのに入れ歯とかかわいそうだろ。」


「二人ともやりすぎだろ・・」

父さんとカーターさんが頭を抱えていた。

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