第15話 戦う盗賊の道14

盗賊ギルドについて中に入ると、父さんとカーターさんが待っていた。

父さんたちに連れられて、奥の部屋にはいるり、今日あった出来事をカーターさんが報告する。

報告を聞き終わった父さんは、信じられないという顔で確めてきた。

「本当にボスを倒したのか?

ついこの前、ダンジョンに入りだしたばかりなのに。」


「戦わないといけない状況になったから、仕方なくね、けど当分はボス部屋には行きたくないよ。」

本気で当分行きたくない。


「でも2階層には様子見しにいくよね?」

ククリは、やる気が止まらないらしい。


「とりあえず、ダンジョン協会に報告してボスが倒せる盗賊の扱いを決めないとだな。」

父さんがよくわからないことをいいだした。

嫌そうな顔で、

「なんでダンジョン協会が出てくるの?」


「普通は一階層のボスを倒したら、Cランク扱いになる。

ビアンキとククリくんのランクがどうなるか確認する意味もあるしね。」


「そうなんだね。

でもダンジョン協会には登録しないよ。」

全員が一瞬止まる。


「どういう事だい?」

不思議な顔で父さんが聞いてくる。


「だってダンジョン協会に所属するメリットが、何もないじゃん。

ランクだってくれてもお断りするよ。」


「ランクはダンジョン協会の決まりだし。

仕事をするのに必要だよ。」

意味がわからない。

父さんも固定概念にとらわれすぎだ。


「ダンジョン協会に登録しない、理由を、わかりやすく説明するね。 


ダンジョン協会からの依頼っていうけど、案内人の仕事は、1階層で戦うより低い報酬しかもらえない、そんな仕事なんて頼まれたってやらないし、メリットがないからなくても困らない。


ダンジョン協会の救援の件も、Cになったら強制なのに、盗賊だけのパーティーは救援がないなら、Cになっても損するだけだよ。

だからダンジョン協会に、所属したくない。


所属を強制するなら、ギルドも辞めて一人でダンジョンに行くよ。

一階層なら一人でも十分暮らしていける。」

かなりきつい言葉をあえて使う。


父さんはギルドマスターなのだ盗賊の事を一番に考えてもらわなければ困る。

「なるほど。

だが一人でどうにかなるのか?

今後他の職業と戦う盗賊が組めるようにするためには、少し我慢も必要だろ。」


「ダンジョン協会なしでも、他のダンジョン職は、盗賊と組むようになるよ。

我慢の必要なんてない。

なんでそんなに負け犬根性なんだ。」

正直あまりに不遇というか、差別的な扱いを受けすすぎて、ダンジョン協会には殺意しかない。


熱くなり感情的になる。


クロームが寂しそうな悲しそうな表情をするが、落ち着かせようと両手に肩をおきなだめてくる。

「どういう事か落ち着いて、話してみなさい。」


「戦う盗賊が増えてたら、盗賊だけのパーティーを組んで、ダンジョン協会の依頼を断り続けたらいいのさ。


他のダンジョン職は、罠解除も、宝箱すらあけられないんだから、耐えられなくなって向こうからお願いしてくるよ。

それと500年前の戦う盗賊は、一人で12階層まで行った記録があったから、他のダンジョン職の協力は必要ない。」 


部屋にいる全員が絶句し、父さんは難しい顔をして、考えている。


「そういわれると、確かに盗賊からしたらメリットはないな・・

けどそれをすると、ダンジョン職は黙ってないだろう。」


「そうだと思うけど、僕より下の世代を全員戦う盗賊にして、アカデミーのようなシステムを作って教育すれば、ダンジョン協会に登録する必要がなくなる。

もし戦えないひとがでたらギルドで雇って仕事をしてもらえばいい。」


権利を勝ち取るなら戦うしかない。

決める権限を持ってるのが父さんだから、戦ってもらうしかない。

「少し考えるから時間がほしい。

とりあえずダンジョン協会に報告はしないよ。

それで納得してくれるかい?」

優しい口調で父さんは頭を撫でながら聞いてくる。


「わかったよ。

生意気言ってごめんなさい。

けど盗賊の扱いを変えたいだ。」

真っ直ぐ、力強い目見る。


「気持ちはわかったよ。」


父さんにカーターさん以外は、帰るように言われ3人で部屋をでる。


「ククリ悪い事をしたな、せっかく戦う盗賊として、他のダンジョン職を見返すチャンスだったのに。」


「気にしなくていいよ。

ビアンキのおかげで戦う盗賊になれたんだ。

俺も盗賊が舐められるのが気にくわないんだ。

俺はどこまでも、お前についていくぜ。」

ククリはニヤリと笑い肩を叩いてくる。


「仕方ないから私も付き合ってあげるわ。

ちゃんと戦えるように教えてね。」

ニャールもどうやら味方してくれるようだ。


「二人共ありがとう。

明日からまたダンジョンで鍛えよう。

まだ一階層だし、力をつけるしかないな。

ククリ、ニャール絶対ダンジョン職より下階層にいくぞ。」 

気合いを入れ直し、二人の顔をみてニヤリと笑う。



その後、二人と分かれギルドを出て家に帰る。


その日の夜、布団に入って寝ようとした所に、父さんが真剣な顔をして部屋に入ってきた。


「明日、もう一度ボスと戦えるか?」


「なんで?

さすがに死にかけたから明日は、嫌だけど・・・」


「もし本当に盗賊だけで、ボスが倒せるならビアンキが言うようにダンジョン協会を敵にまわしてもいい。

何度もボス部屋には案内をしているし、戦う所は見ているが、正直俺はボスに勝てる気がしない。

攻撃スキルが出たとは言え、この前まで戦えるなんて思ってなかったしな。」


「わかった。

それなら証明してみせるよ。盗賊だけでもボスに勝てるって。」


「カーターからククリくんには、一階層のボスに行くことを伝えてもららっているから、また明日朝ギルドで打ち合わせをしよう。」

父さんの表情は暗くてわからなかったが、父さんは決意したような声だった。

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