第12話 戦う盗賊の道11
今日からはククリとククリの父さんのカーターさんと見習い2人でダンジョンに入る。
ダンジョンに行く前にベルーガ商会により、カーターさんは剣を3本買い。
ククリは防具をもらった。
防具は、腕当てと脛当てと胴のみの物で魔石を練り込んだ軽鉄でできているらしい。
スピードを生かす為に必要最低限の装備になっている。
これは500年前の戦う盗賊ロンデルが使っていたものを改良した物だそうだ。
ベルーガ商会を出て。
見習いの盗賊、2人とダンジョン前で合流する。
見習いの2人はこの前のギルドでの説明会で泣いていた男の子と女の子だった。
簡単な自己紹介をして、ダンジョンに入る。
茶髪の髪で、暗い顔の生意気そうな男の子は、ラルゴ、家は魔法使いの家系らしい。
ラルゴはまだ落ち込んでいるらしいく、家にいても、一人立ちして早く出ていけという空気がすごいらしく、落ち込んだままらしい。
黒髪ロングのストレートの元気な可愛い女の子はニャール、剣士の家系らしい。
どうやらニャールは、盗賊になったことで落ち込んでいたが、盗賊が短剣で戦えることを知り元気を取り戻したらしい。
他のダンジョン職の家系から盗賊になるのは辛いだろう。
うちもククリも盗賊の家系だから、家族仲はとても良い。
盗賊同士でしかわからない悩みもあるし、
家系が剣士や魔法使いの家系なら親の見る目が変わるそんな世界だ。
そんな事を思いながらとりあえずダンジョンに入る。
まずはスライム狩りをする。
俺とククリが戦い方の見本を見せ、同じようにカーターさんと、ラルゴとニャールが戦う。
2部屋ほどスライム狩りを繰り返した時にラルゴとニャールのレベルが上がり、短剣使い、投擲、弱点特化のスキルが手に入る。
3部屋目は、カーターさんが一人で、8匹スライムを倒し、同じようにレベルがスキルを獲得した。
カーターさんも弱点特化を手に入れれたようだ。
次はゴブリン狩りに移る。
カーターさんの指示で一対一になるよう、5匹のゴブリンと対峙する。
しかしここで問題が起きた。
初めて向かってくるゴブリンの咆哮を聞いたことで、ラルゴとニャールが動けなくなったのだ。
その様子を見た俺とククリは、ほぼ同時に投げナイフを投げ。ゴブリンを2匹減らす。
すぐに俺とククリは二人を庇う形で前をふさぎ、短剣で首を撥ね飛ばす。
カーターさんは、何とか攻撃をかわして、ゴブリンを倒した。
二人を見ると震えており、顔が青ざめていた。
「2人共、大丈夫か?
無理なら今日は終わりにしよう。」
カーターさんが声をかける。
ラルゴは下を向いたまま涙を流していた。
ニャールをみると、少し落ち着いてきたようで、
「大丈夫です。次はやれます。」
俺は手を出して起き上がらせようとする。
「いきなり咆哮をきくと、恐怖で体がとまるんだよな。
俺もはじめはそうだったから、だんだん慣れてくるよ。」
「あなたは、はじめからククリを守る為に、ゴブリンを倒したって聞いたけど?」
ニャールは、驚いた様子で聞いてくる。
「俺も恐怖で止まったよ。
けど止まったら死ぬ状況だったから無我夢中で倒しただけだ。
はじめから上手くいくやつなんていないさ。」
ニャールは、手を掴み立ち上がる。
「何かコツがあれば教えて。」
「投げナイフをこん棒を持ってる方の肩に投げてみたらどうかな?
上手くいけば、こん棒を落とすし、こん棒がなければ怖くないだろ。」
「わかった。やってみるわ。
ありがとう。」
決意した顔でニャールがお礼をいう。
カーターさんとククリが、ラルゴを励ましているが立ち直るのはムリそうだ。
実際ゴブリンは恐ろしい。
俺は35才と8才分の経験がある分精神が鍛えられているし、はじめて対峙したときは、逃げ場がなかった。
自分より少し小さいだけの、死の恐怖がない化け物が突進してくるのだ。
スキルがあるから今はいいが、戦ったことがない者、スキルがない者は、何かしら強い意思がなければ、あの咆哮を聞き、緑の化け物が突っ込んでくるとまず心が折れる。
俺はラルゴに近付いて、
「ラルゴお前に戦う盗賊はムリだ。
戦う意思とこれからを変える意思がなければ死ぬだけだ。
厳しく聞こえるかもしれないが、わざわざ命をかけることはない。
大人しく普通の盗賊の仕事をするといいよ。」
話してる内容は厳しいが、優しい口調でさとす。
「俺にはムリだ。
スキルがあってもあんなの相手に戦える気がしない。」
優しく背中をさすりながら、ラルゴを起こす。
「自分で自分の限界を認めるのも重要なこだ。
盗賊は戦う必要はないんだから、無理する必要はないさ。」
ラルゴくしゃくしゃな顔で泣きなが聞いてくる。
「なんでお前は俺をバカにしないんだ?」
「同じ盗賊だろ。俺みたいな戦う盗賊が普通じゃないんだ。
ラルゴ、俺は戦えない盗賊がバカにされないように盗賊の未来を変えてやる。
だからお前に出来る事で俺たちを手伝って欲しい。」
「わかったよ。
今日はもう無理そうだから一人でダンジョンから出るよ。
帰り道はスライムしかいないし、覚えるてる。」
ラルゴは、少し落ち着き歩きだした。
カーターさんもラルゴについて行くか聞くが、ラルゴに大丈夫といわれ、次の部屋を目先すことになった。
次の部屋は4匹ゴブリンがいる部屋だ。
それぞれ一対一になり戦う。
投げナイフでゴブリンを瞬殺して、ニャールの様子をみていると、作戦通りゴブリンの肩にナイフを投げる。
こん棒を落とすまでには至らないが、こん棒での攻撃が遅くなった。
しっかりとこん棒をよけ、首を撥ね飛ばす。
「やったー。
本当にゴブリンが倒せた。
私も戦える。」
うれし涙を浮かべよろこんでいる。
「良かったな。
作戦が上手くいって。」
「ありがとう。また困ったら教えてね。」
ニャールが俺の手をとりお礼をいう。
ククリはそれをみてニヤニヤしていた。
その後、ニャールは回避のスキルを獲得し、 俺とククリもレベルが上がった。
ボスの部屋の前に着き、今日は終わりといわれたが、どうしてもボスが気になった俺がカーターさんに聞いてみる。
「カーターさんボスは部屋に入ると倒さないと部屋から出れないとかありますか?」
「ボスは扉はあるけど、倒さなくても出れるよ。
2階層にはいけないけどね。」
「どんなモンスターがいるの?」
「ボスはホブゴブリンの鉄の武器を持った戦士が2体いる。
かなり強いからまだやめておいた方がいい。
ダンジョン職のアカデミーの3年生が1年ダンジョンで修行して、パーティーを組んで卒業試験で倒すモンスターになってるくらい強い。」
「ちょっとだけ覗いたらダメですか?」
ホブゴブリンか、是非見てみたい。
どちらにしろ、そのうち倒さなくては進めない。
「扉を開いて、覗いたら中に入らない開きっぱなしだと、ボスだけは部屋から出てくる。
それに中に入らないと閉まらない仕組みになってるんだ。」
「そんな仕組みなんですね。」
残念だが今回は諦めようそう思った時に。
「父さん見るだけでもダメかな?
ビアンキも僕もレベルは上がってるし、逃げるだけなら何とかなるよ。」
ククリがカーターさんにお願いする。
「少しだけなら大丈夫か。
わかった、けど戦わない事を条件にするよ。」
少し迷いながらカーターさんは、承諾してくれ、ボス部屋の説明を始めた。
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