第11話 戦う盗賊の道10
盗賊ギルドについて、カウンターの前のロビーで、父さんたちを待っていると、若い浅黒の爽やかな男に声をかけられた。
「ビアンキくんだよね?
ククリの父親のカーターだ、明日からよろしくね。」
「初めてまして。
こちらこそよろしくお願いします。
いろいろと教えてください。」
頭を下げて挨拶をする。
「ククリに聞いてた話しと違って、真面目そうだね。
ダンジョンで、ゴブリンからククリを守ってくれてありがとう。」
カーターさんは始めは意外そうな顔していたが、その後お礼を言われた。
多分父さんから問題児だときかされたか、ククリから何か聞いているのだろう。
失礼な話しだ・・
思い当たるふしはあるが・・
「いえいえ、ククリは始めてできた友達だし、兄弟弟子ですから。
それに、一緒に戦う盗賊になるって誓った仲です。」
「それなら僕とも兄弟弟子だね。
僕も明日から戦う盗賊を目指して見ようと思うから、戦いは教えてくれると助かるよ。」
カーターさんとダンジョンでの戦い方について話していると、父さんたちとベルーガさんが一緒に、ギルドに入ってきた。
父さんとベルーガさんは話し込んでいるため、ククリに話しかける。
「ダンジョンはどうだった?」
「1レベルが上がって、ビアンキに追い付いたよ。」
ククリは、嬉しそうだ。
「良かった。
他の人は、どうだった?」
「全員が、レベルが上がった時に、短剣使い・回避・投擲のスキルがついたみたい。
でも弱点特化は、10人中5人だったよ。
レベルが高い人はなぜか、弱点特化がつかなかったみたい。」
「父さんはついたのにね。」
どうやらレベルが低いほど、スキルは獲得しやすいらしい。
もしかしたらスキルの数か、経験の数などに違いがあるのかもしれない。
そんな事を考えながら、ククリからカーターさんと今日ダンジョンでの出来事を聞いていると、ベルーガさんと父さんに呼ばれる。
「ベルーガさんが、ギルドに買い取り窓口と鑑定窓口を作ってくれるって話なんだ。
それと今後のベルーガ商会との話しはビアンキも入れて、調整させてみたらどうかと言われてね。」
ベルーガさんを見るとニヤリとしてきた。
「僕でいいの?
他の人から文句はでないの?」
「でないさ、ビアンキは盗賊ギルドの中で今や盗賊の英雄の再来って言われはじめてるし、もちろん父さんも話しに入る。
それに一人立ちした後は、ギルドの運営にも入ってもらう予定だったから問題ないさ」
このギルド大丈夫か?
8才の見習いの子供に任せるなんて・・・
ちょっと不思議に思っていると、ベルーガさんが、補足してくれた。
「代々ギルドマスターは、クロームの家系だしな。
クロームのおかげで、ギルドを保てているような物だから、感謝されど問題を言うやつなんていないさ。
レコーダーの買い換えや、建物の修繕なんかの出費の半分位は、クロームの手出しだからな。」
うちが貧乏な理由にそんな事情があったとは、父さんの事を見直した。
家では母さんの尻に敷かれぱっなしだが・・・
「わかったよ。
父さんを見習って、出来る事を頑張ってみるね。」
その後ベルーガさんと父さんの3人で、打ち合わせして、商人ギルドへ行き、窓口を開設する契約をかわし、めでたく盗賊ギルドに買い取り窓口が設置されることが決まった。
商人ギルドから出る時に、ベルーガさんから500年前の商会の記録の中で、盗賊にかかわる記録を、まとめた物をもらった。
家に帰り、その日の夜に記録をよむ。
内容は、ベルーガ商会の成り立ちから始まる。
どうやらベルーガ商会を立ち上げた、初代のベルーガさんは、盗賊の両親から生まれた商人だったようだ。
なので親の伝を使い盗賊相手の商売を始め、その時に戦う盗賊のロンデル、うちの家系のご先祖様に出会う。
この記録によるとロンデルは、若い時にダンジョンに案内で入った際、パーティーが壊滅しため、死んだ剣士がサブとして持っていた短剣で戦い逃げ延びた時に、短剣使いになったらしい。
その後は、一人でダンジョンに潜り12階層まで潜ったことがあるらしく、初代ベルーガさんが全て買い取りと、ダンジョンに必要な道具を揃えかなりの儲けを出していたらしい。
ロンデルが、12階層に行ったことは誰も信じていなかったらしいが、新種の金属のヒヒイロノカネを持ち帰り、莫大な資産を得た。
ロンデル、それからもたくさんの財宝を持ち帰り、当時貧困にあえいでいた盗賊をまとめあげ、ギルドを設立したそうだ。
初代のベルーガさんは、その時の取り引きで得た利益で、ベルーガ商会を立ち上げ、盗賊専門の商会になったとの事だ。
その時代には、他にも戦う盗賊がちらほらいたらしい記録が残っていた。
それともうひとつ見逃せない出来事が書かれていた。
『魔王討伐の職業における功績』の内容に改定があったらしい。
それまで盗賊については、案内を務め協力したと記述があったらしいが、案内をしただけである。と記述が改定された。
理由は、ヒヒイロノカネを寄付するように教会に言われたらしいが、それを断り売って莫大な資産を得たのが気に入らなかったとの事だ。
舐めた話しだ。
俺は元々この世界の人間ではないから、この世界の教会の神など信じてない。
もし神様を信じるとすれば、転生させてくれた神様のみである。
戦う盗賊がたくさん増えた際は、かならず後悔させてやる。
盗賊を罠にはめた罪は重い。
今はとりあえず、罠を解除するのが先である。
戦う盗賊がちらほらいたのに、盗賊が戦わなくなってしまったのは、スキルの獲得条件等がわからなかったのだろう。
俺の場合、前世にはゲームがあり、中にはスキルを獲得する条件があるゲームも存分した。
又科学の進歩が発達しており、原因を特定したりする概念がある。
しかしこの世界には、教会で神を崇拝しており、スキルは全て神に与えられし物という思考があるため、探究の概念がまるでない。
なのでスキルの獲得やその他の事の研究が進んでいない。
他の職業のギルドも似たようなものだろう。
盗賊が、ソロで12階層までいけるのに、ダンジョン協会の記録は10階層までなのを考えると、盗賊がよほど強く、他の職業のスキルがかなり弱いか、スキルの獲得方法が確立されていないかどちらかだと思う。
多分後者のはずだ。
盗賊が強いならば、戦う盗賊がいなくなることがないからだ。
ただこの記録のおかげで盗賊だけでも、12階層までいける事がわかったのはでかい。
また明日からのダンジョンが楽しみになってきた。
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