第7話 戦う盗賊の道6

今日はダンジョンに行く。

昨日協会でやらかした為、朝から母さんと父さんに、必ず言うことを聞くように再三注意された。

母さんからは、問題を起こしたら飯抜きにすると言われてしまった。


ひどい話しだ。

けどあんなバカが絡んでくることは、ダンジョンではないだろうから、問題なんて起こすはずがない。


ククリと合流して都市の中心にある、ダンジョンに向かう。


父さんがダンジョンに向かう途中にダンジョンについて教えくれた。


ダンジョンは地下にあり、階層ごとにボス部屋がある。


ボスは一度倒したことがある人(倒した時に一緒にいた人)が1人でもいれば、隠し通路の入り口を開けることができ、そこを通り下の階層に入れる。

下に行くほどより強いモンスターがでる。


ダンジョンは迷路のようになっており、罠があったり、いくつか部屋がある。


部屋にはモンスターが時間で湧くらしく、部屋のモンスターを倒すとドロップ産物、部屋のモンスターを全て倒すと、たまに宝箱が出現して産物がでる。


今日は一階層のボス部屋の前まで行きダンジョンの中の見学をする。

戦闘はせずにモンスターの隙をみて逃げながら進むとのこと、一階層から六階層までは、モンスターは、各部屋から出てまで追いかけてくることがないらしい。


今日行く一階層には、スライムとゴブリンしかいないらしく、逃げていれば基本、怪我をすることはなく、罠部屋をメインに通れば、3箇所だけしかモンスターにもあわないとのことだ。


「スライムって強いの?」


「スライムは、こちらから何かしなければ無害だし、産物も使い道がないから、戦ってる人をみたことがないよ。

ゴブリンは、襲いかかってくるけど最悪父さんならナイフを投げて、倒せるから心配ないよ。」


「なら安心だね。」


「ビアンキは言うことを必ず聞くようにね。

ダンジョンは遊びじゃないから、最悪死ぬこともある。」


「わかってるよ、ちゃんと言う事を聞くよ。」


「今日は、ダンジョンの体験だからパーティーは組まない。

協会に申請もしてないから、何かあっても自己責任になるから2人共、本当に勝手な事をしないようにね。」


「「よろしくお願いします。師匠」」

ククリと一緒に返事をする。

しかし父さんはじっととした表情で俺を見ていた。

完全に問題児扱いである。


ダンジョンは、10メートル位の砦が立っており入り口から入ると、入り口側から幅8メートル程の階段が30段ほどのあり、下に行くにつれ徐々に細くなる。

階段を下りると3m四方の大きな扉がある。


人は疎らで3組のパーティーが先にいる。

10分毎にダンジョン入る決まりらしく、自分たちの番まで待ちダンジョンに入る。


ダンジョンの中は幅3メートル位で洞窟のようになっていた。


最初の開けた場所に到着して入る前に父さんが、止まるように指示をだす。

中を見ると違和感を覚える。

「なんか右から4番目の足元の石が変だよね。」


「落とし穴式の罠だよ、良く気がついたねビアンキ。他に気がついたことは?」


「左側の壁に違和感があります。」

ククリが答える。

「左側の壁には、矢が出てくる罠がある。

後1つはわかるかい?」


「上の壁に違和感があるけど何かまではわからないです。」

俺もククリも同じように答える。


「上の壁がゆっくり落ちてくる仕掛けになってる。解除するから二人共、見ておきなさい。」


父さんは入り口付近の壁のレンガの一つを引き抜き、中に見えるワイヤーみたいな紐を切ったり結んだりしていく。


自分がやると30分位時間がかかりそうな作業を3分で父さんが、終わらせる。

「やり方はわかったかい?」 


「やり方はわかったけど、僕たちだと時間が、かかりそうだね」


「みんな初めはそうだよ。

罠解除と宝箱は、3階層までのものが解除できれば全て解除出きるようになるから、これから3年間、毎日ダンジョンで鍛えるから出来きるようになるさ。」


そんな感じで、4つ程の部屋の罠を解除しながら、進んでいく。


5つ目の部屋の前で父さんが止まり真剣な表情で、

「次の部屋はゴブリンが左手に5匹いるから、部屋に入ったら右の壁際を走り抜けるように。」


覗いて見ると緑色の邪悪な顔をした120cmくらいの大きさのガリガリな人型が、こん棒を持ってうろうろしている。

強そうには見えないが、正面きって戦うには恐ろしく感じる。


「先にククリとビアンキが部屋に入って走り抜けなさい。」

父さんに促され、ククリとともに部屋にはいりダッシュで駆け抜ける。


部屋の真ん中位でゴブリンたちの雄叫びが聞こえ、恐怖で一瞬体が硬直する。


再び走りだそうとすると、前にいたククリが、恐怖で足がすくみ、腰を抜かしてしまった。

「とにかく走れ。」

父さんから焦った声が聞こえる。


父さんをみると、ナイフを投げ一番先頭のゴブリンを倒して、次のナイフを投げる所だった。


ゴブリンはあと4匹、多分こちらにくる迄に全部倒すのは間に合わない。


そう思っているとこちらに、1匹が突っ込んでくる。


俺は咄嗟に短剣を引き抜き、ククリを庇うため前にでる。


ゴブリンは鳴き声と共に、こん棒を振り上げ攻撃してくる、それをギリギリでかわしす。


振り下ろしのあとに隙ができた為、横にから、短剣を首に突き刺し、そのままゴブリンの体を蹴り吹き飛ばす。

倒れたゴブリンの頭をめがけ、短剣で突き刺し止めをさす。


必死になって倒し周りを見渡すと、残りのゴブリンは、父さんの投げナイフによって倒されていた。


俺は、手に残った気持ち悪い感覚と、安心から立ち尽くす。


「ビアンキ、ククリ、大丈夫か?」

父さんが心配そうにこちらに駆けよってくる。


「大丈夫。怪我はないよ。」


ククリも少し落ち着き、声を震わせながら、

「怪我はないです。ビアンキありがとう。」


ククリの手をつかみ立ち上がらせようと、手をだすと震えていた。


ククリもそれに気がついたようで、

「大丈夫、自分で立てるから。」


周りを見渡すとゴブリンがダンジョンの床に吸収されるように消えていき。

銅色の宝箱が現れた。


それと同時に頭のなかでピコンと音がした。


キョロキョロしながら、戸惑っていると父さんに、

「ビアンキは、もしかしたらレベルが上がったんじゃないか?

ステータスをみてみるといい。」


俺はステータスを開く

『ステータスオープン』


盗賊 LV2

力  5→8

丈夫さ  5→6

素早さ 10→14

器用さ 10→11

魔力  3→4

運   8→12

ステータスポイント

4ポイント

【スキル】

索敵Lv1、罠解除Lv1、鍵開けLv1、

マッピングLv1、


短剣使いLv1、回避Lv1

弱点特化Lv1


レベルとステータスが上がっており、攻撃スキルがついている。


ビックリしながら父さんとククリにステータスを見せる。


「レベルが上がって、攻撃スキルがついたよ。」

父さんもククリも、ステータスを確認しビックリし衝撃を受けている。


「盗賊に攻撃スキルが出るなんて。

しかも短剣使いなら、剣士のように戦える。

弱点特化はみたことがないけど教会にいけば効果がわかるから、後で教会に行こう。

とりあえず今日は安全をとって帰ろう。

その前に宝箱を開けよう。」


「そうだね。銅の宝箱って何がでるの?」


「魔石か、アクセサリーだね。

両方でたり魔石が何個か入ってることもある。

魔石は、属性石とも言われて、錬金術師が加工して魔道具を作ったりする物だね。

アクセサリーは、ステータスを上げてくれたり、装飾品だったりする。

ちなみに1階で銅はかなり当たりの部類だよ。宝箱がでてきても、10回に1回くらいの確率だから。」

父さんは嬉しそうだ。


「すごいんだね。」


父さんは宝箱の前に行き、良く見ておくようにいわれる。ピッキングの道具を2本、鍵穴に入れカチャカチャといれていき、鍵が外れる。


見ているだけだが、なんとなく外し方がわかった。

多分自分でも開けられそうだ。

これがスキルの力なのだろう。


「こんな感じであける。わかったかい?」


「「なんとなくわかりました。」」 


「スキルがあるからなんとなく分かれば開けられるから次の機会にやってみるといい。中身を見よう。」


中身は、指輪が一つと拳位の赤い魔石が一つだった。

「指輪は商人ギルドで鑑定してもらって、魔石は教会で買い取ってもらおう。」


「魔石も商人ギルドじゃダメなの?」

疑問に思い父さんに聞いてみる。


「商人ギルドでもいいけど買い取ってくれる人を探さないといけないから。手間がかかるんだ。」


「その魔石はすぐ売らないとダメなの?」


「そんな事はないと思うが、盗賊が戦うことは少ないし、盗賊が宝箱から産物を手に入れることがないから良く分からない。」


「ならとりあえず商人ギルドに持って行こうよ。」


「どうせ商人ギルドには行くから聞いてみよう。」


「あと帰り道のりにスライムの部屋ってないかな?」


「あるにはあるけど、どうして?」

不思議そうな顔で父さんが尋ねる。


「試したいことがあって、危険なモンスターじゃないんだよね?」


「攻撃すると、酸を飛ばしてくるけど、飛ばす前に予備動作で平らになるから、当たることはないし、洗えば害はないから危険は少ないよ。」


「ダメかな?」

媚びるように甘えた声で聞いてみる。


「わかった。けど一部屋だけだよ。」

帰りにスライムが8匹ほどいる、部屋に案内してくれた。

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