第6話 戦う盗賊の道5
拳骨を喰らいビックリして振り返ると、
「問題を起こさないように言ったよね。」
父さんが鬼の形相で詰めよってくる。
「強盗にあって仕方なく、しかもいきなり殴られたから・・」
反省した顔をしながら父さんを見上げる。
「相手にあやまりなさい。」
問題を起こしたのは悪いが、相手に謝る意味がわからん。
「この国では、剣士は強盗してもいいんだね。知らなかった。国の決まりなら俺が悪いから謝るよ。」
無知な子供の振りをしながら、父さんをみつめると、父さんは困った顔をしている。
「うちのが絡んだようだね。すまなかった。」
父さんのとなりにいた金髪の綺麗な剣士のお姉さんが俺に謝罪してくる。
「いえこちらこそ問題を起こしてごめんなさい。」
誰だろうと思いながら見ていると、
「私は、リエン。君に絡んだバカの姉だよ」
「ビアンキです。すいません殴っちゃて。」
「気にしなくていいよ、剣士になったばかりで調子に乗ってたから、いい薬だよ。」
リエンは、苦しそうに倒れているアレクを起き上がらせ、取り巻きの剣士たちは先に帰るように促す。
「アレク君に、あやまりなさい」
もう一度父さんに謝るように促される。
「謝る理由がないよ。なんで謝る必要があるの?」
「半年後同じことがあっても喧嘩になれば勝てないよ。
それにダンジョンに一緒に入って仕事をするとこともあるんだかあやまりなさい。」
「勝てない理由がないし、一緒に仕事をすることはないから、謝らないよ。」
父さんは困った顔をしているが、正直俺は、謝る気がない。
そのやり取りを見ていたリエンさんが
「アレク、ビアンキ君にあやまりなさい。」
「盗賊ごときに謝る必要はない。誰のおかげで飯が食えると思ってる?
今回はたまたまパンチが、あっただけだ。」
アレクが負け惜しみを言いながら、睨みつけてくる。
「本当に半年後勝てると思ってるのか?
なら賭けをしよう。半年後試合をして、俺が負けたら謝るし、剣は二度と触らない。
もし俺が勝ったら、全ての盗賊に謝れ、あとお前の剣をもらう。
まさか逃げないよな?
誇りがあるんだろ強盗くん」
この手のバカは、一度ガツンと痛いめを見せないとわからないだろうから、思いっきりバカにするように煽る。
父さんも、リエンさんもさすがに呆れ、驚いた顔をして固まっている。
この世界の常識では、盗賊と訓練した剣士が戦って勝ったなんて聞いたこともないのであろう。
「盗賊風情に負けるわけないだろ。
受けてやるよ。必ず約束は守れよ。」
「ルールはなんでもありで、武器は木製のみ、相手が敗けを認めるか、気絶したら終わり。今から半年後に試合でやろう。」
固まっている2人を余所に試合の約束決める。
父さんもリエンさんも困った顔をしているが、これ以上揉めるわけもいかず。
とりあえず別れ、父さんとククリと共にで、ダンジョン協会を後にする。
「ビアンキ、相手は剣士だ。
あんな言い方をされたら、悔しいかもしれないが、半年後の試合は止めなさい。
リエンさんとは良く仕事をする仲だから、謝れば取りなしてくれるよ。」
「父さんの気持ちはわかるけど、試合は必ずやるし、負けたら大人しく謝るし戦う盗賊は諦めるよ。
だからもし勝ったら父さんも、剣士だからとか言うのをやめて欲しい。」
クロームは少し悲しそうな苦しそうな顔をして、
「わかった。好きにしなさい但し必ず勝てないと思ったら負けを認めるようにしなさい。」
「我が儘を言ってごめんなさい。
だけどここで負けるなら、戦う盗賊になるなんて無理な話しだし、明日からダンジョンでいろいろ試したいから、いろいろ教えください。」
父さんに頭を下げて謝る。
「明日からはダンジョンだから、問題は起こさないようにね。
とりあえず俺はギルドに戻るから、ビアンキとククリは家に帰りなさい。」
どうやら問題児認定されてしまったらしい。
父さんとわかれ協会から商店街にでる。
「ビアンキは、怖くないの?」
協会で剣士と揉めてからずっと静かだったククリが暗い顔で聞いてきた。
「何が怖いんだ?協会で説明を聞いてからずっと元気がないな。」
「剣士と試合もだけど、ダンジョン協会も盗賊が戦うなんて思ってない。
やっぱり盗賊には戦うなんて無理なんじゃないかな?
俺は正直今日ビアンキが、アレクに殴られた時動けなかったし、すごく怖かった。
一緒に戦う盗賊になろうって言ったのに・・」
ククリは今にも泣きそうな顔をしている。
「俺も怖いよ。
戦闘スキルが盗賊になかったらって考えたら、盗賊が本当に戦えなかったらって恐怖はあるよ。
アレクの件はいきなりだったし、もし俺じゃなく、ククリが殴られたてたら勝手に体が動いたと思うよ。
それにククリは、今日逃げなかったし、逃げなかったククリは強いと思うよ。」
正直8才でいきなり数人に囲まれいきなり殴られたら怖いだろうと思う。
逃げなかっただけでも、本当にククリは心が強い、こいつは鍛えれば最高の相棒になるはずだ。
「そうかな・・・・いろいろ自信がなくなっちゃて」
「なら俺が証明してやるよ。
盗賊が剣士に勝てる。
戦う盗賊になれるって、だからもし勝ったら俺とパーティーを組んで一緒に戦う盗賊になってほしい。」
うつむいているククリの両肩をもち、真っ直ぐククリの目を見る。
「わかった。俺も試合に勝てるようにできることがあれば協力するよ。」
「ククリ、ありがとう」
ククリは少し元気になったみたいだ。
「明日はダンジョンだから早く帰って準備だな。」
ククリと別れ家にかえる。
家に帰って夜、今日の出来事が母さんに伝わり、2時間ほど正座をさせられ、説教された。
試合は止めて謝るように言われたが、断固拒否した。
ヘトヘトで濃い1日だったが、明日はいよいよダンジョン、楽しみだ。
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たつぼう
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