第5話 戦う盗賊の道4

今日はダンジョン説明会に行く、朝からククリが家にきて、父さんにつれられて3人でダンジョン協会に向かう。


ククリと俺の腰には昨日もらった短剣をぶら下げているが、父さんは短剣を下げていない。


「2人共短剣は置いて行こうか。」


「なんで?別にいいでしょう?」


「別にいいんだけど、嫌な思いをするかもしれないから。」

父さんは、心配そうに注意してくる。


「どうせ、嫌な思いをする可能性があるならダンジョンでより、初めからでいいよ。」

どちらにせよバレるのだから堂々としてればいいのだ。


「わかったよ。けど問題は起こさないようにね。」


ダンジョン協会に向かう道中色々な人からジロジロ見られ、人によっては不思議そうに盗賊だよな?って声が聞こえてきた。


ククリはソワソワしている。

よく考えてみれば、ククリは8才しかも最近周りの目がきついだろう。


俺は、前世から周りの目が気にならない性格だったから平気である。

しかも今は、失う物がない不遇職の盗賊だし、気にするだけ無駄だと思う。


「この声をかき消してやるくらいの盗賊になろうぜ。」

肩を叩きながらニヤリと笑う。 


「おう。そうだよな。」

ククリは、笑顔で答える。


 ダンジョン協会について驚いた。

西洋風の立派な館で、ゲームやアニメのような汚い酒場みたいではなく、冒険者ギルドとは異なり、役所のように整備された小綺麗な内装だった。


協会に入ると、ダンジョン講習室に案内され部屋に入ると同世代と思われる人が30名位いた。


剣士ぽい金髪の整った顔立ちの男の子に声をかけられた。

「昨日アカデミーで見かけなかったが、お前、剣士なのか?」


「いや俺は盗賊だよ。」


「なら何故剣を持ってる。剣士を侮辱してるのか?」

剣幕な軽蔑した表情で積めよってくる。


「いや盗賊が剣を持っては、いけない理由がないだろ。

あと何で剣を持っただけで、侮辱になるんだ?」


「盗賊は案内人だから戦わないだろ、剣士の真似事で、しゃしゃりでて来られたらたまったものじゃない。」

周りもそうだと言わんばかりの目でこちらを見てくる。


「別に俺は案内人をする時は戦わないし、お前たちとは一緒に行動するつもりがないから安心してくれ。」

絡んできたやつを無視して、端の席につく。


その間もひそひそと、盗賊の癖になど陰口が聞こえてくる。


待っていると、ダンジョン協会の人が栞をくばり、説明をはじめる。


ザックリ4つ


ダンジョンは階層があり、確認できている階層は、今のところ10階層でそれ以上は到達できておらず、わからない。


ダンジョンは出入り自由であるが、ダンジョンに入る際は、申請を出すこと。

申請がない場合は、救援ができない為、自己責任になる。


ダンジョンでの産物は、ダンジョン協会又は商人ギルドを、通して売買をすること。


パーティーにてダンジョンに入ること。


以上の説明をうけた。

「質問がある人はいますか?」


手を上げて質問をする。

「パーティーに構成に制限はありますか?」


「特にありませんダンジョンは、全ての人の物ですので制限はありません。

ですが案内人だけのパーティーの場合、何かあっても、救援にはいけないことになります。」


「ありがとうございます。

もうひとつダンジョン協会のランクがCでないと入れない場所はありますか?」


「ありませんが、こちらも同様にC以上は6階層以上に立ち入りを制限しているため自己責任で救援がありません。」


「ありがとうございます。質問はもうありません。」


こちらが盗賊だとわかった上での回答に満足していた。

周りはバカにしたような、痛いやつを見る、視線であるが気にしない。


説明会がおわり、部屋をでて、ククリを見るとすごく落ち込んでいる。

「どうかしたのか?」


「協会はダンジョンに入るパーティーに盗賊は認められてないと思ってさ。」


「それはわかってただろ。

正直俺は、安心したけどな、盗賊だけのパーティーでダンジョンに出入りできない方が問題だから。」


「盗賊だけだと、救援がないんだよ?」


「何か問題があるのか?俺たちは盗賊だから、救援を出す状況なら多分死んでるぞ。

どうせダンジョンに入るなら命掛けだから救援なんてあってもなくても一緒だろ。」


歩きながら話しをしていると、さっきの剣士が、取り巻きを連れて道を、ふさぎ話しかけてくる。


「余計なことはせず、大人しく案内しをすればいいんだよ、お前ら盗賊は。」


「お前は誰だよ?

まず名前を名乗れ、後気安く話しかけるな。」 


無視して行こうとすると、4人に囲まれた。


「俺はアレクだ、代々剣士の家系で聖剣の血を引いている。とりあえず剣士でもない盗賊は、剣を置いていけ。」


「強盗の末裔の間違えじゃないか?とりあえず邪魔だからどいてくれ。」

無視して通り抜けようとしたところ、腹に衝撃が走る。いきなり殴られて、息が止まる。


「盗賊風情が、なめた真似するからだ。」


ゆっくり立ち上がり、睨み付けてくるアレクから少し距離を取り、息を整える。


「やっぱり強盗だったな。」


再び怒りながら、殴りかかってくるアレクの拳をよけながら、喉元に向かって横から剣を降る要領で思い切り横からなぐる。


うめき声を上げて苦しそうに倒れ込んだアレクの髪を引っ張り顔を上げさせ、近距離で睨み付ける。


「二度と関わるなよ、強盗の坊っちゃん。」


周りは信じられない光景を目にして動けなくなっている。


盗賊が剣士に喧嘩で勝つ。多分この世界ではあり得ない光景なのだろう。


ステータスの違いはあれど同じ1レベルで、剣を持ってない剣士に、喧嘩もしたことがない子供に、前世の経験がある俺には勝てる訳がない。


多分剣士のステータスは、力がかなり強い、腹を殴られた際かなりの威力だった。

正直6才同士の喧嘩なら一発で終わっていたと思う。


だがスピードは盗賊の方が上である。

力がない分は弱点をつけば補える。

結局ステータスも同じレベル同士なら、なにが得意かの指標だ。


アレクの腹を蹴り突飛ばし、周りを睨み付けた所で、頭に衝撃がはしる。


「問題を起こさないように言ったよね?」


ビックリして、振り返ると拳を握った鬼の形相の父さんと知らない金髪の美人剣士の女性が立っていた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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たつぼう

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