第4話 戦う盗賊の道3

登録が終わり、父さんから、ククリと一緒に呼ばれる。


「2人共、仲良くなったみたいだな、明日から2人の指導をさせてもらうからよろしくな。」


「これからは師匠だね。よろしくお願いします。」


二人で頭を下げる。


「クロームさん戦う盗賊になりたいのですが可能ですか?」

ククリが真っ直ぐな眼差しで父さんに質問する。


「正直わからない。500年前に剣で戦う盗賊がうちの家系にいた。その人が立てたのが今のギルドなんだ。」

ククリは、少し残念そうだ。


「500年前の人ってうちの家系だよね、剣士じゃなかったの?」

俺はびっくりしながら聞いてみた。


「うちの家系に盗賊以外が産まれるわけがないだろ。ビアンキはどんな盗賊になりたい?」


「僕は、盗賊の地位を上げられる様な盗賊になりたい。

だからまずは、ククリと同じように戦える盗賊を目指したい。

父さんは、今の現状をどう思うの?」

真っ直ぐに父さんを見て答える。


「正直不満はあるさ。さっきの2人を見たらわかるが、職業が盗賊になったことを受け入れられない人もいるのが現状だ。

うちは盗賊の家系、500年前に戦うアサシンがいてギルドを立ち上げた、過去があり誇りがある。

スキルも投擲ではあるが、攻撃スキルが身に付いた事から、俺も戦うことを諦めた訳ではない。

しかしそれ以降、スキルは身につかずだ。

それでも戦う盗賊を目指すというなら、明日から生き残れるように、できる限り鍛えよう。」

父さんは何かを決意した表情で、答えてくれた。


「明日からダンジョンにいくの?」

ワクワクしながら聞くと、


「まだいかない。

今日はこの後二人の装備品を買い揃えて、明日はダンジョン協会に行ってダンジョンの説明会。

明後日からダンジョンの一階で修行だよ。」


ギルドから出て、父さんに連れられて、3人で商人街へと向かう。 


そういえば初めて、ダンジョン都市内を歩く、ビアンキの記憶にも家族以外と過ごした記憶がなく、家で過ごしてばかりだった。


不思議に思い尋ねてみると、天職の義が終わるまでは、家族で過ごすらしい。


同世代等の友達や知り合いがいないのは、それまでの関係が、天職の義で職業によって格差がでて、トラブルが起きないようにとの事だ。


ちなみに親が、盗賊だといじめられる可能性があるらしく、家から出さないようにしていたらしい。


ククリも同じだったようで、ワクワクと緊張が混じった中で、父親に連れられてギルドに来たらしい。


立派な商店街を過ぎ一番端の古く、他と比べると小さな、入り口の扉の上にベルーガ商店と書かれたお店に入る。


中に入ると、若い女性が接客にきて、

「いらっしゃい、クロームさん」


「新人が入ったから、盗賊装備が一式ほしい。」


その後採寸され、皮のポーチ、腰ベルト、ナイフ、ピッキング道具を揃えてもらう、2セットで金貨2枚だった。


この国の貨幣は

大体一枚

ミスリル金貨  100万円

白金貨     10万円

金貨      1万円

銀貨      1000円

銅貨      100円

銭貨      10円

このような感じになっている。


ちなみに金貨10枚あると貧乏ながら3人家族で1か月暮らしていける。


「二人ともお祝いだ。

盗賊は師匠から初めての道具は揃えてもらう。

立派な盗賊になったら弟子をとって、師匠からしてもらった事は弟下に返しなさい。」


「ありがとうございます。」

二人で頭を下げる。


待っている間にお店を見ていたらふと気になった、壁に40センチ位の短剣が何本かかけてある。


奥からスキンヘッドの強面なおじさんがでてきて、

「気になるか?小僧」


「うん、いくら位するの?」 


「あれは、金貨2枚だな欲しいのか?」


「欲しいけど買えないよ。」


父さんが後ろから

「ベルーガさん久しぶりだね。」 


「久しぶりだな。

クロームのガキなら盗賊だろ?短剣をみていたから剣士かと思ったよ。

盗賊なのに変わったやつだな。」


「ビアンキって言います。ちなみに剣士じゃないと売ってもらえないとかありますか?」


「金さえもらえれば売るさ。

盗賊には必要ないだろうけど。」

笑いながら、ベルーガさんが言う。 


「必ず買いにくるから、必ず売ってくださいね。」

ベルーガさんは一瞬驚いた顔して真剣な顔で、父さんに

「お前の家系なら戦う盗賊の再来かな?」


「わからないよ。まだダンジョンにも出てないのだから。」


「ビアンキって言ったよな。お前戦うつもりか?」


「武器があればね。一緒に来たククリもね。」


それを聞いたベルーガさんは店の奥に行き短剣を3本持ってきた。


「そこに掛けてあるやつよりは安いが、持って行くといい。」


驚いきながら聞いてみる。

「なんでくれるの?」


「うちの家系は、500年前から代々商人だが、500年前にお前の一族の血筋の戦う盗賊のおかげで店が持てるようになった。

誰も買わないのに、短剣が置いてあるのもその名残だ。

先行投資と思って持っていけ。

その代わりもし、本当に戦えるようになったら、武器や道具は必ずうちでかえよ。」


「わかった。ありがとう。」

 ククリと共にお礼を言ってすぐに道具の受け取りで呼ばれた。


「ベルーガ良かったのか?俺のもあるみたいだが。」


「クローム、お前の息子は化けるかもだぞ、家から出たてのガキが、堂々としてやがる。商人の勘だがな。

あとは先祖の恩返しだよ。

それと道具は、これからもうちでかえよ。」


「わかった。これからも贔屓にするよ。」

 ベルーガさんに改めてお礼をいい3人で店をあとにする。


 俺はククリと別れ、武器も手に入りホクホクで父さんと共に家路についた。

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