第3話 戦う盗賊の道2

今日は、父さんに連れられて、盗賊ギルドへ向かう。



この世界には、職業ごとにギルドがあり。


ダンジョン職への依頼や、パーティーのランクを管理する、ダンジョン協会がある。


ギルドと協会の違いは、


ギルドは、それぞれ職業ごとに、人材育成・職業の全体の方針等を決める。


協会は、依頼の取り纏めや、ダンジョンでの事故があった場合の救出等の対応、ダンジョン職のアカデミー(学校)の運営を行っている。


盗賊ギルドでの人材育成は師匠についていろいろ習う見習い期間が、約3年ありその後、テストがあり合格すると、一人立ちとなる。


ちなみに剣士や魔法使い等のダンジョン職、錬金術師や薬師等の生産職はそれぞれ3年間アカデミー(学校)がある。


「盗賊はなぜアカデミーがないの?」 


「アカデミーは、ダンジョン協会と生産者ギルドが、それぞれお金を出して運営しているから、盗賊ギルドにはその余裕がないんだよ。」

父さんは少し悲しそうに言う。


ギルドについて絶句した、ボロボロでツタが張っており、西洋風の小さな砦、映画にでてきそうな見るからに盗賊の隠れ家のような建物だった。


入り口にカウンターがあり、受付の女性に挨拶をすると、奥の部屋に案内され、父さんと別れた。


部屋に入ると同じ年位の人がら3人座っており、職員のおじいさんから書類を渡され、ギルドマスターがくるまで読むように言われた。


書類の内容はギルド規則とダンジョン規則。


書類を読み終わった所で父さんが入ってくる。


「ギルドマスターのクロームです。よろしく、書類の説明をさせてもらいます。


ギルド規則は、4つ。


1、ダンジョンで得た報酬の一割はギルドに寄贈すること。

(レコーダー等の必要な物の貸し出し等の費用)


2、人材育成の協力に応じること。

(アカデミーがないため、後輩育成が必要な為)


3、盗賊に必要な技術が新しく見つかった場合共有すること。

(盗賊職の向上)


4、ギルドのダンジョンレコーダーの所持

(ダンジョンで事故や、案内しているパーティーの契約違反行為の監視の為)


ダンジョン規則は、4つ

1、ダンジョンランクが、C ランク以上の人はダンジョン救援要請があった場合に応じること。


2、ダンジョン内で殺人等犯罪行為の禁止


3、ダンジョン案内人は、レコーダーを所持すること


4、ダンジョンは全ての職業の共有資産であり独占の禁止。

(ダンジョンの隠し通路、隠し部屋等を発見した場合の共有)


以上です。

質問はありますか?」




びっくりした。

父さんがまさかのギルドマスター・・・

なのにうちは貧乏・・・


手を上げて質問してみる。


「ダンジョンレコーダーはギルドの物と、協会の物があるのですか?」


「2つあります。昔は1つだったが、事件があり。


協会がパーティー側の肩を持って、盗賊側に非があるように仕向けられたことがあるため、必ず2つ持っていくことを義務付けしています。」


「ありがとうございます。」

恐ろしい世界である。


「他にはありますか?ないようでしたら。

次に見習い制度に、ついて説明します。」


見習いについては、師弟制をとっているようで、師匠は経験を積んだ盗賊なら、誰でもいいらしい。


親や兄弟など、家系に盗賊がいれば家の人、いなければギルドからの紹介が受けられる。


師匠の裁量でギルドのテストを受けられ、合格すると一人立ちできる。


ちなみに俺は、生まれた時から父さんの弟子になることが決まっていたようだ。


家で職業が決まる前に、母さんからの盗賊の英才教育を受けていた覚えがある。

多分父さんがギルドマスターだから恥をかかないようにとの事だろう。


ギルドランクと呼ばれるものがあり、見習いはG から始まり、Dまである。


C以上はギルドランクではなく、ダンジョン教会の規定がありS まである。


盗賊の場合、Eになると一人立ちと判断され、Cからは一人前で後輩の育成が出来る資格を得る。


盗賊の現役最高ランクは、クロームのBランクとのことだ。


ちなみにダンジョン職は、アカデミーを卒業すると、Cランクからスタートするらしい。


説明が終わりサインするように言われると、

「俺は盗賊なんていやだ。うちの家系は代々魔法使いなのに、盗賊なんて何かの間違いだ。」


「私も盗賊なんて間違いよ。うちの家系は代々剣士なのに。」

右隣に座っている男の子と女の子が泣きながら駄々をこねだした。


そんな中、左隣に座っている浅黒いやんちゃそうな男の子が、淡々とサインして、話しかけてくる。


「お前がビアンキか?

俺はククリだよろしくな」


「はじめまして。ビアンキだよ。

何で俺のことを知ってるの?」


「うちの父さんがアサシンで、クロームさんの弟子だったんだ。

俺も明日からクロームさんの弟子になるんだ。」


「なら明日から一緒だね。よろしく。

ククリは盗賊は嫌とかないの?」


「俺は、盗賊でも戦える盗賊になるつもりだから、嫌とかはないよ。

ビアンキは、どうなんだ?」

ククリは、真剣な眼差しで聞いてきた。


「俺もだよ。

父さんが投擲を攻撃スキルを持ってるって聞いてから盗賊も戦えると思ってる。」

真剣に答える。


「良かった。俺と同じ考えのやつがいて。」


ククリは嬉しそうに手を出してくる。

俺も手を出して固く握手をかわす。


「明日からよろしく」


泣いている2人には悪いが、明日からのダンジョンがより一層楽しみになってきた。


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