UFO とユートピア

   


 トマスモアという”空想的社会(共産)主義者”の著書の「ユートピア」は、現世に「無有何郷」を建設する話ですが、普通は、「ここではないどこか」に此の世なぬ理想郷があって…というのが「ユートピア」のイメージです。


 お釈迦様あたりを嚆矢として、「人間の苦しみ」をなんとか救済できないか、そういう宗教的な試みは多くて、いろんな魂の救済を謳う宗教や霊能力者は多い。


 「この世は地獄」、「苦娑婆」、「一切悉苦」とか言う格言もある。暮らしが地獄なので、酒を吞んで紛らわす。こうして酩酊して極楽気分に浸るのは「壺中天」といいます。壺の中のミクロコスモスというか、”ユートピア”に閉じこもるイメージですね?


 星新一も、スタートは「ややこしい人間関係が何より嫌」なので、ファンタジックなSFショートショートという形式の作品世界を仮構しはじめて、その「壺中天」に閉じこもる喜び、解放感を共有したがるファンが増えていって、オタク・アニメ文化の源流のような日本SFの潮流ができた…というような事情は周知である。星さんのSSのストーリーには、コンピュートピアも多いし、ロボットだけの未来も多い。天国とか地獄。ほかの惑星。空想的だが、どれも、”ややこしい人間関係が捨象されているだけ、現実よりまし”、星さんはたびたびそういう表現をしていた。


 だから、もちろんSF一般にも、こういう苦しみのない楽園や桃源郷、「ユートピア」のイメージがつきものだ。逃避的なのだが、逃避することで現実を軽蔑する、という屈折した快感もあるのだと思う。


 具体的には、「宇宙戦艦ヤマト」のイスカンダル星というのもユニークなイメージだが、やっぱり作者のユートピア像なのだろう。「ウルトラマン」の、「ひかりのくに」、M78星雲…も、ユートピア幻想だ。「ドラえもん」の、主人公たちが度々タイムマシンで訪れる未来のイメージも全くユートピアそのものである。


 前にも書いたが、UFOが目撃され始めたときに、その背後にあるのは、虚空に投影された「救済願望である」と、喝破したのがかのCGユングだ。


 つまり、人々はUFOを、遠い、どこかにあるユートピアからの使者、一種の天使だととらえたのである。最初はそうだった。「科学」、その進歩、イノヴェーションこそが地球上のすべての不幸や災厄を凌駕してくれる…


 その夢物語は、現代ではかなり色褪せてはいるが、少なくともそういう純粋な理想をまじめに追求しようとしているサイエンティストは多いと思う。(そのサイエンティストを支えている才媛サイエン試験テストに強い妻もいるかな?w)


 SFではこういう理想や夢を標榜する良識派と、現実の色とか欲に溺れる愚かしい俗物の争いやら、せまぎあいの物語も多い。結果、地球が滅亡、という結末もざらだ。


 実際には、UFOは天?ak




 

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UFO 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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