7.兄は恋愛に疎い
弓道部に呼んだ時。
私は兄が
兄には悪いけど、あれは私が仕組んだものだ。きっと、榧白先輩が白を切っていると考えたことだろう。
そう仕向けたのだから、そうでなければ困るのだけれどね。
そして、私は頭を抱えながら呟く。
「昔からそうだけど、
***
「はぁ、彼女……欲しいなぁぁ」
性別が変わっても恋愛対象だけは女子である僕は彼女ができる訳がないのにそんな事を呟く。
自分の体を見たとて何も思わないが、頑張って意識を逸らすことが度々あったため、性別が変わったからと言って何か変わることもなく……。
「ぬぁあぁ!!?」
頭がこんがらがって声を発する。それに対する返事は勿論ない。
「はぁ、あっつ、上がろっと……」
考えることを辞めてから数行のことである。
おバカで不真面目な僕は勿論、頭が痛くなるようなことを長時間考えるほど賢くないためそうすることにした。
そして、湯船から上がり浴室の折れ戸を開ける。
当たり前だけれど、そこは脱衣所であるからすることは決まっているだろう。
自室にて、ベッドの上で何故か転がる理途を横目に椅子に腰を下ろす僕。
「……理途、何故、僕の部屋に?」
「え?、お
理途が部屋に来る時、それは大抵のケースだと〝アドバイス〟の時。何故か探偵が提示するような有益な情報を得ては助言する妹であるが、濁すからか意図が汲み取れない。
そして、コロコロをやめて脚をパタパタさせながら話し出す。
「
「どっちって女の子が対象だけど……それが、どうしたの?」
キョトンとしながらそう答えると理途は微笑んで言った。
「それなら、良かった。今、好きな子っているの?」
「……?居ないけど、??」
何を聴きたいのかやっぱり意図を汲み取れずに居ると口を開く。
「確認だけど、性別が変わった前日に美少女を見たんだよね?その時どんな感情だった?」
「綺麗だなぁって。僕もあぁいう花になりたいなとは思ったよ」
「そっか、兄ってやっぱり恋愛に疎いのかも……。」
いきなり否定する妹に問いを投げる。
「え、?どういうこと?」
そんな僕の疑問を軽く受け止めて戸に歩く。
「それは、後々分かる事だよ。頑張ってね。兄」
そして、居なくなった理途の言葉を気にしつつ静寂が包むこの部屋で僕は1人考え込むのだった。
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