6.暑い日の放課後

 七夜月半ば頃の教室にて、二人の女子は愚痴を零す。

 「あぁ、だるいぃ。なんで、こんな時に限ってエアコン故障してるの?!」

 「本当にそれ、最近暑すぎる」

 愚痴を零すのはまさに僕と碧だ。

 グチグチと愚痴を憂いながら暑さに嘆く。碧はハンディファンを片手に持ちながら同意の意を示した。

 だって、最高気温四十℃だぞ?仕方ないじゃん。

 「夏休みが近いからか、告白も増えたんだよね、断るの大変なんですけど?」

 「それはご苦労様~〜まぁ、女子であっても告白したくなるような見た目なのが悪いよね。あと、それは他の人の前で言っちゃダメだよ?」

 日夏はボタン2つ空いた襟元をばたつかせながら言う。

 「仕方ないじゃん……アツゥ」

 碧は相槌を打ちながら忠告をする。

 「そうだね、仕方ない。──あと、襟をバタバタさせるのえっちだからあんまり人前でしない方がいいよ?ほら、こう、視線集めちゃうからさ?」

 指摘受け、辺りを見渡すと碧が言った通りに視線を集めていた。

 然し、そんなのどうだっていい。暑いものは暑い。

 襟元をばたつかされていた時、突然ペットボトルを谷に差し込む。

 「っめたいぃ……」

 即座にそれを取り出しながらいきなり何!?と言った。

 「だって、日向はこうでもしないとそれ辞めないじゃん」

 そういう碧を頬を膨らましながら、されど何もいえなかった僕だった。

 そして、学校が終わって放課後。

 何故か他校の弓道部に呼ばれた僕は妹の高校へと足を運んでいた。

 「兄〜突然、呼んでごめんねぇ~」

 「それはいいけど理途こと、何か用事でもあった?」

 僕はそう問いを投げる。すると理途は首を横に振ってそれを否定して、困り顔で言う。

 「いや、私は特に用事は無かったんだけど、榧白かやしろ先輩が呼んで欲しいって。腕が鈍ってないか見たいからとか言ってたけど多分、本心は……。」

 〝本心が〟どうした?とは聞くべきではないと思った僕は保険的な言葉を並べる。

 「中学以来弓道なんてやってないから腕鈍ってるけど、大丈夫?」

 それに頷きながら理途は笑顔で応答する。

 「ん?まぁ、いいんじゃない?多分、今の私よりかは全然上手いよ」

 その言葉に苦笑した。

 そして、「あっ!日夏君、来てたんだ!」と白々しくいう榧白。

 まぁ、そこは触れないとしてその後だ。

 「4本勝負ね!」と何故か試合形式で戦おうと申し込まれてしまったため。

 体に染み付いた技術を思い出しながら行う。

 そして、日が沈んだ時に帰宅した。

 結果は理途、僕、榧白の順で終わった。

 え、?審判は誰がやったかって?顧問に決まってる。

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