1.何気なく願う
高校に入学してから数ヶ月が経過して、学校では不真面目で有名な僕は何時もの様に居眠りしていると体を揺さぶられる。
「
「ん、んん?碧……おはよう」
背伸びをしながら言葉を返す。碧ははぁ、とため息を零しながら言う。
「もう十八時だよ」
「お、もう夕方じゃん」
今、僕と話しているのは昔馴染の
……一寸の間隔の後、隣の席に腰を下ろしていた碧は口を開く。
「そんじゃ、部活途中だったからまたね。気をつけて帰るんよ〜?」
「あ、そうなんだ。頑張ってな〜」
「うん!ありがとっ」
そして、教室から出て微笑を浮かべて手を振った碧を見終えると鞄を持って立ち上がる。
そういえば、リアルではないだろうなと思っていた。しかし、幼馴染同士で付き合うという行為をしているのか彼奴……。
「心底羨ましい」
そんな独り言をポツリと呟きながら学校を後にした。
**
コンビニで買ったアイスを食べながら帰宅している最中なのだが、肌が透き通るように白く程よく実った果実にセミロングの髪。容姿端麗のセーラー服姿の少女が目に入った。
そんな美少女をチラチラと横目に見ているとこちらに気づいた少女が笑顔でお辞儀を返した。
なんだろう、とてもいい子だ。本来なら怪訝な顔をするだろうに……──そして、僕は思ってしまった。あぁいう美少女になりたいと。
ついつい口から溢れ出る。
「朝に目が覚めたら美少女になっていますように」
「って、叶うわけねぇか……」
即座に否定を加えて、虚しくなった俺はその間に溶けたアイスに汚れた手を見て「うわぁ」と言葉を零す。
家に着くと直ぐに乾いてベタベタになった手を水で洗い流して自室へと入る。
自室に着くや否や鞄を椅子に置いて、ベットへと仰向けに倒れ、スマホを手に持ち、時刻を確認するがまだ二一時程だった。
そうして仮眠を取ろうと考えた僕は、徐々に重たくなる瞼を閉じる。
***
「……うぅ、、眩しぃ……」
窓から陽射しが目を刺し、温かさと眩しさで目を覚ます。そして、手探りでスマホを探して時刻を確認すると時刻は六時だった。
ポリポリと首の裏を掻きながら言葉を零す。
「うわぉ、寝すぎたァ」
「あれ、?声高いな……?まっ、気のせいかぁ、」
「ふぁあ、眠」
気にせずベットから起き上がろうと身体を起こそうとする。然し、何故だろう?いつもよりも若干、重かった。
「あれ、重いなぁ……疲れてるのかな」
疲れてるんだなとそう思いながら重たい身体で、洗面所へと向かった。僕は洗面所の鏡に目をやる。
そして、鏡に映る自分自身を眺めながらこう思った。
「誰だ?この美少女……」
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