第15話 仕事は

優木さんが仕事のことで鴨白さんに相談していて、真剣な顔で話をしている。


邪魔にならないように、そっと席を立った。

乱雑に入れられたままになっていた棚の本や写真集をきれいに並べながら、時折2人を見ていた。


鴨白さんがいろいろアドバイスをしている。

でも、それは決して押し付けるようなものではなく、「自分ならこうするけど、優木の思い描くイメージだとどう?」という風に、優木さんの思いが具現化するように、導いている。



鴨白さんは仕事に関しては決して妥協しない。

集中すると、まるで別の世界にいるみたいに、まわりの音も時間の経過も関係がない。



この事務所で働き始めて、鴨白さんがご飯を食べているところを一度も見ていないことに気が付いた。

外出が多いから、外で食べているのかもしれないけれど、なんだか自分のからだを痛めつけているように見えてしまう。

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