第6話 後悔

その日を最後に、箱崎くんはその言葉の通り、いなくなった。


どこかに転校して行ったのか、退学したのか、誰ひとりその行き先も事情も聞いていた生徒はいなかった。


先生もなぜか言葉を濁した。

しつこく聞けばわかったのだろうけど、聞くことができなかった。


聞けるわけがない。





あの時、自分がもっと大人で、自分の気持ちを上手く言葉にすることができていたら、何か違っていたのかもしれない。


少なくとも、こんな思いを抱えて、大人になることはなかった。


二度と彼とは会うことができない。



高3の冬、「後悔」という2文字の、本当の意味を初めて知った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る