ヒトならぬ人のウワサ

鳥海鳥海

はじめにこれだけ話 わたくし、気づいたのです。 

わたくし、気づいたのです。

きっと牡丹ボタンさんはお人形さんですわ。

何故と聞かれてもハッキリいえますわ。

彼女、指に爪がないのですもの、

いいえ、正しくはお肌と爪に色がないのです。

白粉おしろいやネイルのような着飾ったものではなく、生まれた、あるいは作られたときからその白は保たれているようで、

わたくし初めてのご挨拶の時なんて、初対面ですのに

「お肌、とってもきれいですわね。何か秘訣でも?」

なんて言ってしまいましたわ。おそらく牡丹ボタンさんにわたくしはおかしなやつと思われてるでしょうけど、彼女は顔色も変えずに

「毎朝の整備メンテナンスのおかげです。」ですって!

あまりに淡々としていて、「整備メンテナンス」なんて言葉、誰もがお人形を思い浮かべますわ。

そんなヒトが隣の席だなんてわたくし、これからの学生生活すこし不安ですの。

そうそう。顔色といったら彼女の目。どこにいても目が合いますの。

わたくしテレビでみたことありますわ。呪いのお人形のようでしたが、トリックは目がくぼんでるとかなんとか。

きっと彼女の目もそうなっていて、わたくしと目が合ってしまうのですわ。きっとそうですわ。

彼女は顔もかくのごとくお人形のようで、見ているだけでわたくしなどが見ていいものかとすこし恐ろしくもありますの。

そんな彼女と目を合わせることは、イケナイことしているようで、胸の中を牡丹ボタンさんに撫でられているような、握られているようなそんな感覚を覚えますわ。

 そんな物思いにふけっていたわたくし、秋葉あきばさくらは見てしまったのです。

首を落とし、居眠りシャットダウン中の牡丹ボタンさんを。

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ヒトならぬ人のウワサ 鳥海鳥海 @Toriumi_Tyoukai

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