第9話 謎の少女

 静かな廊下を歩いていく。

 さすがに授業中で生徒の姿はない。

 だが、教室内を覗くことは出来る。

 扉の小窓から、中を確認していく。


 古河さんは別のクラスにいるのだろうか。

 世界線が変った影響でそうなったのなら、可能性はある。


 気づかれないよう俺は、こっそり確認していく。

 だが、彼女が見つかることはなかった。



 ……だめか。



 諦めかけたその時。

 体育館に向かう人影を見かけた。

 この時間から体育の授業があっても、おかしくはない。


 だけど、あれは明らかに制服だった。しかも女子のようにも見えた。


 こんな時間に制服で体育館の方角へ向かう人間は珍しすぎる。



 まさか――と、思った。



 俺は急いで体育館へ。

 しかし、人影はもうなかった。……さすがに追いつけないか。いったん戻ろうとすると、背後から声を掛けられた。



「四之宮くん。君も授業サボリかな」

「!?」



 振り向くと、そこには古河さんがいた。

 制服ではなく、ジャージ姿の。



「驚かせてすまない」

「あれ……ジャージ?」

「ん?」

「いや、なんでもない。それより、古河さんはどうして体育館に。それに君の存在が……」

「いい質問だね。時間を有効・・・・・に使っているのさ」

「い、意味が分からない……」


 ポカンとしていると古河さんは、ついてきてと背を向けた。

 もちろん彼女の背後をついていく。

 頼りになるのは古河さんだけだ。


 静かに歩いていく。


 体育館の…………裏?


 そこに何があるというのだ?



 更に歩いて見えてきたプレハブ。

 こんなところに!!



「ようこそ『オカルト研究部』へ」

「え……!? オカ研!?」

「そうさ。ここが本部でね」



 マジか。知らなかったぞ!

 こんなところにオカルト研究部が存在したとは……。てか、普通は空いている教室とかじゃないのか。こんな体育館裏にあるプレハブとはね。

 雰囲気は凄くそれっぽいけど。

 結構ボロい感じ。てか、白線を引く道具とか置かれている倉庫にしか見えないな。部活動の道具とかも保管されていても、おかしくないレベルだ。


 古河さんは迷いなく扉を開けた。


 すると中は……。


 なんじゃこりゃあっ!?

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