第7話 明らかになる真実

 だめだ……また紅音を寝取られた。

 このままではダメだ。

 今の俺はただの観測者で傍観者。

 もっと行動に移さないと過去は変えられないんだ。


 次こそは――。


 次こそは紅音を助ける。

 そんな願いを込め、アプリを起動した。


 すると一瞬で意識が飛び……ブラックアウトした。



「――――ッ!」



【6月3日(月) 12:10】



 頭の中がビリビリする。

 この感覚、久しぶりだ。けれど、すっかり慣れたもので今はもう苦痛ではない。

 それより紅音だ。



「どうしたの、陽くん?」

「紅音……! 今すぐこっちへ」



 俺は過去へ戻って早々、紅音の腕を引っ張った。

 もうこうするしかない。

 強引にでも紅音を連れていく。事情を聞くしかないんだ。


「と……突然どうしたの。なんか怖いよ?」

「話があるんだ。ここでは出来ない」



 誰もいない教室へ入り、俺は改めて紅音に向き直った。

 あの男について聞くしかない。そう思った。

 嫌われてもいい。

 別れることになってもいい。

 失敗しても何度でも過去へ戻るだけだ。



「なにかな、陽くん」

「包み隠さず教えて欲しい。紅音、お前……誰かに脅されてないか?」

「え……」


「俺は見てしまったんだよ。お前が澤野というヤツに言い寄られているところを……!」

「な、なんでそれを……」



 俺が知っていたことに紅音は驚いていた。

 でも、そんなことはどうでもいい。

 どうして、紅音が澤野と関わるようになったのか。そこが重要だ。



「偶然さ。アイツは何者でなんで脅された?」

「そ……それは。……うん、分かった。全てを話すね」


 紅音はついに真相を話してくれることになった。

 これでアイツの情報が知れる。


「頼む」

「あれは5月30日だった。お昼に後輩である澤野くんに呼び出され……わたしは向かった」


 どうやら、その時に紅音は脅されたらしい。

 あの大男と共に。

 突然襲われ、服を脱がされて裸の写真を撮られた。そして、それをバラまくと脅されたという。


 それが本当なら犯罪じゃないか……!


「なんで俺に相談しなかった!?」

「こ、怖かったから……ごめんなさい」

「紅音が謝ることじゃない。そうか、やっぱり脅されていたんだな!」

「うん……恐怖に支配されて話せなかった」


 なら、澤野とあの大男を止めるっきゃないよな。

 更に過去へ……“5月30日”に戻って叩き潰す。


 その為にも古河さんの知り合いにアプリをアップデートしてもらう必要がある。

 現時点では6月3日にしか戻れないのだ。


 やるしかない!!


 こうなったら、あらゆる手段を用いて紅音を救ってみせる。

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