第4話:冒険者へ

 元手が要る。商人となるにも生活する以上の稼ぎが必要だ。となるとやっぱりダンジョンで稼ぐ必要がある。酒場の給仕では生活するだけでいっぱいいっぱいなのだ。


 とはいえだ。私に戦えるか?


 魔物という危険な存在と。


「武器が要るな」


 まぁいいや。


 兎にも角にも冒険者になろう。


 話はそれからだ。


 ギルドに加入するのは誰でも問題ないとのことなので。


 街の外に出るのにも、また町の中に入るのにも。他領に移動するのにも冒険者という自由民になる必要性がある。冒険者ギルドの所属すれば諸々にかかる税金とかも免除になるらしい。正確にはギルドという互助組織が払ってくれるとのこと。


 ギルドは全ての冒険者と依頼主から仲介手数料をもらっていて、それらでギルドの運営が賄われ、そして所属している人の税金も、まとめて支払っているという感じだそうだ。末端の構成員ほど恩恵が大きいというのが冒険者ギルドの言い分だ。本当のところは分からないけど。


 私は酒場の仕事の休日をもらい、冒険者ギルドへと足を運んだ。ブーツと剣の看板が目印だそうだ。そこは厳ついお兄様方が出入りしていた。たまに普通な感じの人も出入りしているのが見える。なんとなく大丈夫そう、かな?


 もっと危ない感じのを想像していたんだがな。


「まぁいいや」


 とにかく中に入ろう。


 こんな所で足踏みしてちゃ王様になんてなれないからな。私の目標からしたら冒険車ギルドのドアを押し開けるなんて些細なことだ。


 というわけで扉を押し開けて中へと入った。ロビーはこざっぱりとしている。奥にはカウンターがあって、そこには女性が座っている。私は取り敢えず手近な場所に座っている受付の女性に声を掛けた。


「ちょっと良いですか?」

「はい」

「冒険者登録をしたいのですが?」

「はい。ではこちらの用紙に名前と年齢をご記入ください」

「それだけでいいんですか?」

「はい」


 私は言われてスラスラと書く。


「アヤ様ですね。一六歳、と。文字の読み書きも問題がないようですね」


 どうやら試されていたらしい。まぁいいけど。


「当ギルドの説明をしますね」


 そう言って受付嬢が説明を始めた。仕事の受け方から始まり、評価システムにランク制。仲介手数料の話に罰則等。その説明の大半はゼスさんが話してくれた通りの内容だった。


「それでは良き冒険者ライフを」


 そう行って受付嬢の説明は締めくくられたのだった。


 さぁここからだ。


 まず何をしよう。


 どうしたら良い。


 考えろ私!

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