第4話:チーム決め

 冒険者ワーカー初級試験が始まった。まずは、試験官代表による挨拶と試験の説明だ。代表を務めたのはアリスGUILDに所属するベテランの冒険者ワーカーであり、黒い短髪と黒瞳と黒いちょび髭を持つ嫌味ったらしい男性『闇井黒輝』で、黒いスーツと白を着た上に白いネクタイを付け、眼鏡を掛け、右目辺りには傷が付いている。

「ミーは貴族主義ザンス。ミーの前で礼節と実力を欠けた無様な者は許さないザンス。まぁ、まだ経験の無いヒヨッ子共には無理な話ザンスが、精々、我々ベテランの冒険者ワーカーのお眼鏡に合うよう挑んだ方がいいザンスね。あまりは期待しませんけどね。」

 このような嫌味を含む奇天烈な口調を冷徹に落ち着いた声色で言う奇妙な人である。

 試験の内容は受験者三名のパーティーで試験官側で特定した魔物クリーチャーを狩り、採取した素材を支部のテントに提出することとその試験官代表に教えられる。

 次に、青白く光る文字が刻まれた石碑【発現石ステータスストーン】に手を翳し、魔物クリーチャーを倒し、迷宮メイズを踏破する為の能力や、自身に内包するステータスを自身を含む冒険者ワーカー同士に閲覧できるようにする視覚を発現させる。

 この発現石ステータスストーンの発見こそ、冒険者ワーカーの誕生と言え、歴史に刻まれている。

 そして、抽選のくじ引きで試験に挑むパーティーを決めるのだが、

「まさか、試験の前に出会った三人でパーティーを編成されるなんてな。世の中は分かったもんじゃねぇべ。」

「偶然とはこのことですが、一緒に頑張りましょう。大丈夫、貴族である私が足手纏いになることは有り得ませんわ。」

「二人とも、よろしくお願いします。」

 光兵衛・正義・ヘラの三人、そして、もう二人がパーティーになった。ちなみに、彼女の執事は支部の休憩所にあるモニターで見守っている。

 ちなみに、その二人という人たちは…

「葛雄っス。よろしくだぜ。」

「榛奈っしょ。宜しくだし。」

 金髪と褐色の日焼け肌の男女カップルのような二人だった。

 葛雄と名乗る男性は短髪で、耳に小さな赤い魔石が付いた銀色十字架を、目に赤いカラコンを付けて、ラフなTシャツとダメージジーンズを着ていた。

 榛奈と名乗る女性は青白い魔石のブローチが付いたピンクのシュシュで纏めた長髪で、目に青いカラコンを付けて、麻色のカーディガンとフリルが付いたスカートを着ていた。

「うちらは宮外魔物駆除業者でアルバイトをしたんだよねぇ。」

「まぁ、俺、この前、迷宮メイズから出た野良の粘魔スライム大鼠ビッグマウスを狩ったことがあるからな。今回の初級試験は楽勝だぜい!」

「あまり、楽観視や舐めた考えを持つのは早計ですわ。くれぐれも油断しにいように。」

「油断? いや、余裕っしょ!」

「あーしたちが居れば、百人力、いや、万人力っしょ!」

 不遜な態度とだらしない身だしなみを持つカップルはヘラに鋭く睨まれても、余裕をかました。

 正義はそんな二人に不安を覚え、光兵衛は頭を掻きながら、このメンバーでのこれからの試験への対策を案じた。



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ホームレスから始まる現代ダンジョン攻略 @kandoukei

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