第7話 交流

昼休み...昨日葵に呼ばれいたので、指定された空き部屋に一人で座っていた。


「意外と...優しかったな?」


山口さんに頭を撫でられたあの後すぐに授業が始まったが、転入生を配慮してくれているのか当てられることは無かった。

まぁ、一度習っているから復習みたいな感じだし大体は分かる...気がする。


休み時間、質問攻めにされる事を覚悟していたのだが...2~3人ずつ話に来てくれた上に、質問も答えやすい内容のものばかりだった。

山口さんが後ろで親指を立てて『がんばれ』的な雰囲気を感じたから、人見知り...と紹介されていた俺のことを気遣って周りに声をかけてくれたのだろう。

なんだ...ただの女神様か。


「おお~思ってた100倍元気じゃん。誰とも喋れなくてこの世の終わりみたいな顔してると思ってたのに」


今までの振り返りしているとドアが開き、妹が煽りながら部屋に入ってくる。


「俺は、お前の朝と今のギャップでびっくりだよ。」


俺は初めて葵と一緒にこの学院へ投稿したのだが...

知っての通り、全てがパーフェクトの古河葵はきょどっていた俺を横に置きながらも話しかけてくる人すべてに丁寧な対応をしていた。

理解はしていたつもりだったが、実際まじかで見てみると、その異次元差が分かる。

同時に話しかけているのにそれをすべて読み取り、相手に対応する時間の管理。

令和の聖徳太子とでも言えばいいのだろうか。


今までならそのことに憧れと嫉妬を持っていたわけだが、この土日で見た妹の姿...ギャップがありすぎてまだ嘘なんじゃないかと思ってしまう。


「人間、息抜きは大事なんだよー?」


俺の前に座った妹はスライムのように体を溶かしている。


「はっ、これを動画に撮って弱みにするのもありか...」

「まぁ、なんて破廉恥な人なのかしら!全く、最近の若者ときたら...」


ふざけながらも、ご飯を食べるために弁当を開ける葵。

ご飯のお誘いが絶えない上、少し危うくなってきたため、この空き部屋を特別に貸してもらっているらしい。

この部屋の存在を知ってたら絶対ここでご飯食べてたわ、周りの目もないし...


「山口さんと同じクラスだったっけ?良かったねぇ喋りかけてくれる人がいて」

「いや、ほかの人とも喋ったけどね?」

「全部受け身でしょ?分かってるって(笑)」


あー、こいつ絶対こっちが素だわ、これはやってますわ。

そうだよ...受け身だよ!そんなコミュ力は存在しないよ!


「ま、ここで死んでないってことは、ちゃんと受け答えできたってことだよね」

「それは...そうだけど...」

「結構良いスタートダッシュきれてるじゃん」

「...怖いわ」


葵は俺が悔しそうな顔をししているのを見てフォローするように声を掛けてくる。

...DV彼女ですか?と言いそうになったがその言葉を飲み込み、弁当を素早く食べ始める。どうしよう、どんどん妹に対して怖いと思うことが多くなっていくんだが。


「お兄ちゃん、あ~ん」


...橋でナスを掴みこちらに近づけてくる、何をしているんだろうかこの妹は。


「...あれ、ナス嫌いだったっけ?俺の弁当のところに置いといて良いよ」

「...」


突然の妹の行動にびっくりしたが、多分嫌いだったんだろう。今日の料理当番俺だったしな...

そう思い自分の弁当を近づけるが、箸に摘ままれているそのナスが離れることは無い。

不思議に思いつつも、早弁をしてしまう俺は妹よりも早くご飯を食べ終わっていたのだが、まだ葵の箸の先にはナスが摘ままれていた。


「...?食べ終わったしもう行くよ?」

「うん...分かった。後、俺じゃなくて私ね」

「あっ、出さないように気をつけないとな。じゃあまた...」


葵が少し不機嫌な様子で一人称を指摘してくる。

やっぱ意識してないと癖で出ちゃうなと反省しつつも、葵が何故か少し不機嫌になっているので、素早く部屋を出て教室に向かう。



「はぁ~...私が料理する時も出してたんだから嫌いなわけないじゃん。馬鹿兄...」

葵は、一人になった部屋で兄に対する愚痴を呟いていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

□いつもより少し投稿が遅れました(..)

☆や♡、フォロー、コメントを付けてくれるとモチベが上がるので良かったら応援してください。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る