入学編
第6話 自己紹介
先ほど先生から伝えられたが、今日はこのクラスに転入生が入ってくるらしい。
転入生がどんな人物なのか気になっているクラスメイト達。
『男か女か...』『美人かな!?』『優しい子だといいなぁ』など...クラス内は少しざわついていた。
「では、入ってきてください」
先生が声をかけ、少し間があった後ドアが開かれ、転入生が入って...
「...」
「
転入生は緊張しているのか、綺麗な90度のお辞儀を見せる。
さっきまでざわついていたクラスメイトも、私も...声が出なかった。
白く綺麗な肌に、琥珀色の髪をストレートに下した美少女。
息を呑むほどの美しさというのは、きっとこういう時に使うのだろう...
「優さんの席は......」
◇
まずい。
非常にまずい...
先生から指示された席に着き、隣の席の女の子によろしくという意味を込めて、会釈すると相手は少しぼんやりとした様子で会釈を返してくる。
どうやら横の席の人も他の事を考えてぼんやりとしていたようだ。
堂々と見えるように、頑張ったのに...
こういうのって拍手とか、クラスにいる気さくな人が『よろしくー』とか言ってくれるんじゃないの!?
自己紹介と言っても名前を言っただけだったのだが、無反応は無いと、どこかで思っていた俺の豆腐メンタルがぐちゃぐちゃに崩れていく音がする。
あれ、今回もぼっち街道まっしぐらってこと...?
◇
ホームルームが終わり休み時間に入ったのだが未だに話しかけてくる人はおらず、俺は一人で孤立していた。
でも、視線は多く感じる...
も...もしかして、すでに悪口を言われているとか!?
被害妄想が膨らみ、それから逃げるように机の木目の数を数え始めようとすると...
「優ちゃん~」
そこに一人、スタイルの良い金髪美女が話しかけてくる。
こ、この声は...
「や、山口さん!」
「友里でいいのに~...って葵にも同じこと言った気がする」
笑っている彼女からは、THE陽キャの香りがすごい、が...
「えっと...この間は、すみませんでした!」
「え?」
俺は昨日、何度も繰り返し練習した言葉を出す。
相手の好意を踏みにじってしまった...その後悔は、あの日の夜の一人反省会がいつもの倍の時間になっていたことが、物語っている。
「ど、土曜日です。あの時はびっくりしたっていうか、なんていうか...」
謝る言葉は練習したのだが、その後のことは何も考えていなかったため、おどおどしながら言葉をどうにか紡ごうと喋り始める。
元の体だったらはっきり喋れよとツッコミが入りそうだが...今の姿は少し照れくさそうな顔をしながら誤っている琥珀髪の美少女...
「かわいすぎる゛ぅぅ~!!!」
「ーーーっ」
山口さんはそう言うと、俺に抱き着いてきた...
俺は対人慣れ...というか女性慣れしていないせいで、前と同じように、体が固まるが...自分の体を見て少し耐性が付いたのか、意識は前よりはっきりしている。
やばい...胸が!それにいい匂い過ぎるなんだこれ...
少しクラクラしてきたところで山口さんが俺から離れていく。
「いやぁ、ごめん。可愛すぎてつい~」
「い、いえ...誰も話しかけてくれなかったので...嬉しかったです。」
その言葉を聞いて山口さんがキョトンとする。
「ああ~...皆、優ちゃんが可愛すぎてびっくりしてただけだよ?」
「え...?」
俺が周りの人に目を向けると皆が気まずそうに横を向く。
「可愛すぎるのも罪だね~」
そう言って山口さんが頭を撫でてくる。
まじか。
ぼっちになるRTAかと思ったわ!!!
まじで良か゛ったあ゛ぁ゛...
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□作者
総合500位以内と現代ファンタジー100位以内乗りました。
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