目に見えないけどすぐそばにいる、もう会わないはずの人たちの気配。いつもの日常が続いているようなあたたかみに揺蕩い、ふと我に返るとそこには誰もいない。読みながら現実と微睡みの境へ誘われていく快感。一歩引いたところから見る可笑しみのあと、不意にどうしようもなく切なくなる。絶妙な語り口で一話ごとに余韻が残りました。どうぞこの狭間へ迷い込んでみてください。