第6話 聖女の洞窟3

 空中に浮かぶ半透明の手が複数ヒスイの瞳に映った。

 ヒスイは横を向きて話した。


「あれはゴーズトハンドです。魔法で除霊を行いたいのですが……」


 視線を感じエルシアはヒスイの方へ頭を向けた。


「何かあるの?」

「魔法発動までに三分ほどかかります。あの……」

「囮?」

「ええ。セクハラをしてきますので無理だったら」


(セクハラをしてくるの。……先に進むにはあそこを通るしか……)


 エルシアの頭が下に向いた。


(はあ。ビキニアーマーを着て町を歩くのも嫌。……仕方ないわね)

 

 エルシアは頭を上げヒスイを見た。


「私が囮になるわ。でヒスイさんはどうするの?」

「私は魔法がゴーズトハンドに届く位置まで移動します」

「わかったわ。確認なのだけど。魔法以外でゴーズトハンドを倒す方法ないの?」

「あります。満足するまでセクハラをされる事です」


(くっ。なんて奴なの)


 と思いながらエルシアは口を開いた。


「行ってくるわ」


 エルシアはゴーズトハンドの方へ歩き出した。

 ヒスイも歩き出した。

 ゴーズトハンドの前に立つエルシア。

 

(何をしたら)


 エルシアが思っていると三体のゴーズトハンドが動き出した。


(やっぱり嫌)


 エルシアは目を瞑った。


 ……


「きゃーーー」


 ヒスイの悲鳴が聞こえ目を開け振り向くエルシア。

 ヒスイのスカートをめくるゴーズトハンド。

 ヒスイの胸を触るゴーズトハンド。

 ヒスイの太ももを触るゴーズトハンド。

 エルシアの口から声がもれた。

 

「どうしたら……」

 

 赤いビキニ水着アーマーが光り出した。


「セクシーなポーズで誘惑するっていうのはどうだ?」


(うっ。やりたくない)


 エルシアが思っていると背後からゴーズトハンドの気配を感じた。

 光る赤いビキニ水着アーマーの輝きが増す。


「このままだとエルシアもセクハラされ続けることになるぞ」


(セクハラされ続けるなんて嫌。やってやるわ)


 と思いやけを起こすエルシア。


「こっちよ」


 エルシアはセクシーなポーズでゴーズトハンドを誘惑した。


(ゴーズトハンドの動きが止まった。もう少しね)


 エルシアはポーズをより刺激的にする。

 複数のゴーズトハンドが動き出した。

 

(ありがとうございます。これで演唱ができます)


 ヒスイは心の中でエルシアにお礼を言い演唱を始めた。


 複数のゴーズトハンドがエルシアにセクハラをする。


(ちょっ。何をするのよ)


 赤いビキニを引っ張るゴーズトハンド。

 エルシアは抵抗した。

 その間も二体のゴーズトハンドがお尻や太ももに触る。


 一分後。


(まだなの。触りすぎ)


 エルシアは涙目になりながらもゴーズトハンドのセクハラに耐えていた。


 二分後。


「俺に触るんじゃねえ。ゴーズトハンドども」


 赤いビキニ水着アーマーのガートンが叫んでいた。

 ガートンの叫びを無視してエルシアの胸とお尻を揉み続けた。


「っ。っあ」


 エルシアの口から吐息がもれた。


 三分後。

(もう、限界)


 涙目のエルシアの両足が震えていた。


「やめっ」


 エルシアの汗が地面に落ちた。

 ヒスイはゴーストハンドを見る。

 魔法を放つヒスイ。

 全てのゴーストハンドが除霊された。

 座り込むエルシア。

 ヒスイはエルシアに駆け寄った。


「エルシアさん。終わりました。ありがとうございました」


 エルシアは顔を上げ涙を右手で拭いた。


「終わって良かった」


 力が抜けエルシアは水着から左手が離れた。

 紐が解けビキニが地面へ落ちてゆく。

 時間の経過と共にエルシアの頭が下に向く。

 エルシアの胸が丸見えだった。

 

「きゃーーー」


 エルシアは悲鳴を上げた。


 ……


 エルシアはビキニを身に着けヒスイを見た。


「見た?」

「光で見えませんでした」


(光?)


 エルシアは立ち上がった。


「まあ良いわ。奥へ進みましょ」

「そうですね」


 エルシアとヒスイは歩き出した。

 

 

 

 


 

 

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