第5話 聖女の洞窟2

 つたが生えた石壁の横を歩くエルシアとヒスイ。

 しばらく歩いていると蔦に囲まれた広い空間に出た。


(先に進めそうね)


 奥に通路が見えエルシアは進む。


「待ってください。何か嫌な予感がします」


 エルシアはヒスイの声が聞こえ振り向いた。


「そうは言っても奥に進むにはあの場所を通らないと」

「そうですが……」


 エルシアとヒスイは奥の通路へ歩き出した。

 数本の蔦が動き出す。


(罠!)


 ヒスイの両手両足に蔦が背後から絡みつく。


「きゃーーー」


 ヒスイの悲鳴が聞こえエルシアはヒスイの方へ視線を向けた。

 エルシアの瞳に倒れているヒスイが映った。


「今、助けるわ」


 エルシアが走り出そうとした瞬間、蔦が左足に絡みつき足がもつれた。


「きゃっ」


 エルシアは悲鳴と共に前方へ倒れ込んだ。

 ヒスイとエルシアの胸とお尻と太ももに数本の蔦がくい込む。

 

(痛い。離れなさい)


 エルシアは両腕に力を入れた。


(ちぎれない)


 奥の通路から巨大植物が現れうねうねと動き出した。


(何かやばい奴が近づいてくる)


 エルシアは危機を感じた。

 銀色のビキニアーマーが輝き出す。


「レッドカンビオと唱えろ。生きたいのならな」


(今はそうするしか……)


「レッドカンビオ」


 エルシアが唱えるとビキニアーマーが赤く光り出した。


(何?)


 銀色のビキニアーマーが赤いビキニ水着アーマーへ変わってゆく。


(どうなっているのよ? ……ん? ……力を感じる。これなら)


 エルシアは腕に力を入れ蔦を引きちぎった。


(次は)


 エルシアは足に絡まった蔦を手で引きちぎり立ち上がった。

 ヒスイの方へ向きエルシアは走り出した。

 エルシアの胸が上下に揺れる。

 

「助ける」 

「お願いします」


 ヒスイは瞳に剣が映り両目をつぶった。

 蔦が切れヒスイは瞳を開け立ち上がった。

 

「ありがとうございます」


 お礼を言うとヒスイとエルシアは巨大植物の方へ向いた。


「今ならエンチャントと唱えれば剣を炎属性にできるぜ?」


 ガートンの声が聞こえエルシアは反応した。


(相手が植物なら)


 エルシアは魔法を


「エンチャント」


 剣が赤く光り出した。


 剣を持ち構えるエルシア。

 


「ヒスイは下がっていて」

「はい」


 エルシアに言われヒスイは下がった。

 巨大植物との距離を詰めるエルシア。

 複数の太い蔦がエルシアに襲いかかる。

 エルシアは一本一本太い蔦を剣で斬る。

 太い蔦が燃え苦しむ巨大植物。

 巨大植物は数多くの唇花から花粉をまき散らした。


「きゃっ」


 エルシアは瞳に花粉が入り驚き声がもれた。

 目を閉じるエルシア。

 数多くの唇花がエルシアに襲い掛かる。

 唇花はエルシアに巻き付き胸、へそ、足に吸い付いた。


(なにこれ?)


 エルシアの力が抜け剣と盾を地面に落とした。

 下を向くエルシア。


(しまった)


 ヒスイの瞳にエルシアが映った。


「今、助けます。エルシアさん」


 ヒスイはダガーを持ちエルシアの方へ走った。


「えっ」


 ヒスイは声と共に地面に生えた蔦が両足に絡みついた。

 体の外へダガーを向けヒスイは倒れた。

 唇花がヒスイに襲い掛かる。

 ヒスイの首と足に唇花が吸い付いた。


(力が抜けます。せめて)


 ヒスイは立ち上がろうとしたが動けなかった。

 その間、エルシアは唇花の茎の部分に支えられ立ったまま吸われ続けられていた。


(気持ち良い)


 エルシアの唇からよだれが垂れた。

 ヒスイもエルシアと同じようによだれを垂らし始めた。

 巨大植物の太い蔦が再生を始めた。

 

「見てられないぜ。俺が力を使ってやる」


 赤いビキニ水着アーマーが光り出した。

 唇花が赤いビキニ水着アーマーに近づいてくる。

 赤いビキニ水着アーマーに唇花が吸い付く。

 巨大植物と唇花が燃え始めた。

 ガートンはニヤリと笑った。


「へへ。炎属性の俺に吸い付くから」


 エルシアとヒスイの精気が回復し始めた。

 動けるようになるとエルシアは剣を拾い巨大植物へ向かった。

 回復魔法をエルシアに使うヒスイ。

 エルシアは緑色の光に包まれた。


(ありがとう。ヒスイ)


 エルシアは高くジャンプをし巨大植物を斬った。

 ヒスイと合流するエルシア。

 エルシアはヒスイに声を掛けた。


「回復魔法、助かったわ。ありがとう、ヒスイさん」

「いえ。痛っ」


 ヒスイは首に左手を当て火傷の治療を始めた。

 声を掛けるエルシア。

 

「大丈夫なのですか?」

「ええ。軽度の火傷ですので。それよりも蔦がない場所で休みましょ」

「そうですね」


 エルシアとヒスイは移動し体を休めた。

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