第6話 広い廊下の屋敷

俺と茜は 広い廊下のある屋敷に 通された 。


 竜「ここどこだよ すっげー屋敷じゃん。俺、映画の社長の家とか、テレビで見るヤクザの組長の家とかで見た事あるけど」


 茜「ここ私の家!」

 竜「え?」


 そこは あのスイートルームより広く 豪華だ 。見た事も無い ソファーや テーブル 。


 俺達2人は ふかふかのソファに 腰掛けた。


 暫くすると 割腹のいい 紳士が 現れた。歳の頃は 50過ぎ位かなー 「茜 何処まで ドライブかな」と皮肉を込めて微笑んだ。

 

 茜の様子が なんだか 変わった。さっきまでの元気のいい 茜と 明らかに違う気がした。


 茜「ごめんなさい パパ」


 俺は、あーパパね〜 えー!パパかー ー って事は 北條ホールディングスの北條社長って事かー。 俺名刺 名刺 持ってきてたかなー などと 1人で あたふた、していた。


 『どうぞ内の銀行とお取引きをー 』と心で叫んだ。

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『空想シーン』(銀行店舗内)「いやー立花君 今月の2億の融資軽々達成だねー。今月の優秀賞は もちろん 立花君に満場一致で 君だ。おめでとう ‼︎」職員 皆んなからの盛大な拍手。

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 俺はにやけていた。


北條社長「で!そこのニヤケ顔の男は 誰なんだ」

 

 俺は 一気に現実に 引き戻された。


 茜「この人は 一緒に 京都に 行ってくれた人で 茜は ちょっと舞妓さんの衣装が 着てみたくて ごめんなさいパパ」茜が もじもじ説明をしている。


 北條社長「ちょっと京都に 行くのに 会長の約束をすっぽかし 1億を持って ドライブか?」

 

 茜「あーでも あれは パパー、会長が 勝手にお決めになった お見合いで ほら 私にお見合いする気も 無いのに 相手の方にも 失礼かと」


 茜が しおらしい 、どうしたんだ。さっきまでの 勢いは 何処に行ったのか 俺は 空いた口が ふさがらなかった 。

 

 北條社長「茜 南海君は お前も 知らない仲じゃないじゃないか お見合いと 言っても 幼なじみに 会う感じだろう」

 茜「パパ 私 まだ結婚する気なんて ないし」


 と茜が 何故か俺の顔見て微笑んだ。俺は 嫌ーな予感がした 。

 茜「パパ この人が 今 私が お付き合いさせていただいてる 竜?竜?」俺は心で(平だよ 平!)

 

 茜「そう竜平さん」と不自然に 腕を組まれた 組まれた腕で俺の脇腹をつつかれ、俺は


 竜「そ!そうです 俺が 今 茜さんと お付き合いさせていただいています 立花竜平です」


 俺は 昨日の夜あったばっかだけどね と思った 。北條社長の表情は 冷ややかだった。そらそうだよな 何処の馬の骨か わからん 男が 現れ 娘さんを、下さいやら 今時、、いや いや 「下さい」やら 言ってない。殺される。


 想像癖のある俺は 考える事が 豊かだ など考えていたら


 北條社長「竜平君とやら 君は 茜を幸せに 出来る自信は あるのかね? 君は 今幾つだ?」

 

 え?俺は やっぱ「下さい」って 言ってしまったのか?いや そんな事は 無いと 首を振ってる 俺に

 

 北條社長「竜平君 聞こえなかったかね?君の歳は?」


 竜「あ!26です。銀行員です。」

 茜「パパ あのね竜ちゃんはー」

 北條社長「竜ちゃん⁈」と連呼し このヤろうー と言わんばかり俺を2度見した。

 

 茜「パパ竜平さんは こう見えて いい人なのよ チャンと仕事も してるし 優しいかなー?です」


 と俺の顔見た 恋人へのレベルが 低!と 思ったのは 俺だけ?


 北條社長「葵は、知ってるのか?」

 茜「葵?葵は 葵は 知ってるわ 当然よ 」少し間が空き「当然です」

 竜「僕は 今月の目標を達成し 優秀賞を狙っています 銀行では 営業業務を しています 。ちなみに 銀行名は」と言いかけた時 北條社長が 立ち上がり


 北條社長「もう いいかな !話は 分かった 。今日は もう遅い 君は ゲストルームに 泊まって行きなさい、明日の朝 うちのものが その銀行やらに 届けるとしょう」社長は 奥の部屋へと 去っていってしまった。


 俺は 一気に気が抜けた 緊張で固まっていた体が 溶け始め 座高が 10センチ縮んだ気がした。

 茜「何故 私がお見合いなの?まだ大学生よ 冗談じゃない だから あの時 茜は 葵に 」ブツブツ ブツブツ…


 茜は 横でブツブツ 口を尖らせ 呟いていた


 俺が「終わったな!豪華日本一周旅行、北海道で、蟹食いたかったーなーマジで」と茜を見た。茜は 俺の顔を あきれた顔で見て「寝たら」とだけ 言い残し 

 

 茜 「あーあ お風呂でも 入ろっと 今日は 入浴剤下呂温泉の湯にしょうっかなー」など ブツブツいいながら 廊下を歩いて行ってしまった。


 お、俺は 「皆んな置き去りかよ 一応客人だぞ 」広い部屋は、静まりかえり目の前のお茶は 冷えてしまっていた 。

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