過保護
Pectawot
過保護
俺の両親は過保護だ。凄く。俺は今年で十八歳になるというのに、一人で外を出歩くことすら許されない。外に行く際は毎回必ず両親のどちらかがついてくる。ひどく余計なお世話だ。あまりのしつこさにうんざりして過去に一度だけ怒鳴ったこともあるが、親は一生懸命に俺をなだめるだけで全く聞く耳を持たなかった。両親の教育のせいで俺は両親以外との人間関係がほぼゼロに等しく、人見知りがとても激しいため、道で知らない人とすれ違うことにさえ嫌悪感を抱くようになってしまった。
ただ、過保護なことは悪いことだけでは無い。家ではいつも優しくしてくれるし、俺にだけ特別に美味しいご飯を用意してくれる。他にも暇な時の遊び相手になってくれたりと、過保護は迷惑な面も多くあるが、これに関してはとても快適でありがたい。
でも、やはり過保護の影響か、ここのところ身体の調子が優れない。足腰が弱ってきていてまともに動くことすらままならないので、外出もなかなかできない。グレー掛かった天井を眺めながら、俺はなんとなく命の終わりを感じていた。
数日後、容態は急激に悪化した。数日前とは打って変わって、筆舌に尽くし難いだるさが全身を襲う。抗えぬ眠気、ぼやける視界。もう助からないと悟った。辛そうな俺を見て、両親はとても悲しそうに涙を零している。俺が息を引き取る瞬間、毎日欠かさずに面倒を見てくれた母親がつぶやいた。
「今までありがとう。ポチ。」
(あくまで物語なのでペットを飼ってる人を批判する意図は無いです)
過保護 Pectawot @pectawot
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