第7話 15歳

そこからフォルテは様々な勉強をして、今や15歳になっていた。

リリーさんの言った通り、フォルテの魔力量が上回ったようで特に大きな問題が起こることもなく日々をすごしていた。

今日は15歳の誕生日。それに妹が出来る日か・・・・

『フォルテ!大変。あっちの家に新しい女の子が来てるよ』

「そうなんだ」

『そうなんだって、そんな人ごとみたいな。フォルテが本当の公女なのに、公爵様やシエル様はあの子にニコニコしてるよ。こんなの・・・理不尽だよ』

悔しそうに語る少年に、なんだか胸が温かくなるのを感じた。

「・・・ありがとう」

でも、しょうがないの。だってお父様やお兄様は私を憎んでいるんだもの。


前世、私がお父様やお兄様に嫌われている理由が最後に分かった。牢屋で処刑される日を待っている私の元に、妹のオリビアがやってきた。

『可哀想なお姉様。お姉様、なぜお父様達がお姉様を憎んでいるのか、ご存じじゃないでしょう?その理由はね。お姉様がお母様の本当の子どもじゃないからよ。』

『え・・・どういうこと・・?』

『お姉様はね、お母様の仲の良かったメイドの子どもなの。そのメイドが亡くなった時に、お姉様をお母様に託したのよ。そして、お姉様が覚えているか分からないけれど、お姉様を守ってお母様は死んだのよ。お姉様のせいで。』

『っつ・・・そんな』

『それにね、私が公爵家の養子になった理由は・・・・・』


「まぁ、どうでもいいわ。そんなこと。それより私もう少しでギルドのランクが上がるの!これを期にもう少し難しい依頼に挑戦してもいいかなって」

『今フォルテがやってる依頼も、普通の人から見たら難しいってなんで気付かないんだろう。』

「なんか言った?」

『なんでもない!そっそれより、僕剣術大会が見たい!今年の剣術大会はこの公爵家でやるんだって!それに、今回は騎士団のメンバー以外にも参加して良いらしいから、フォルテも出てみたら?』

「うーん、そうしようかなー、でもバレたらめんどくさいなぁー」

『フォルテ、言葉遣い。』

「あぁ、ごめんごめん」

ギルドと家を行き来する毎日。ギルド内や町にもたくさん仲間が出来た。

勿論、ギルドには生まれも育ちも貴族。なんて人は一人もいない。そんな人たちと過ごす時間の方が多かったフォルテはいつの間にか、淑女教育が抜け落ち立派に野蛮な人間と呼ばれるような性格に進化していた。

『はぁ、全く。フォルテはせっかく顔が綺麗なのに、もったいないよ』

「顔なんて、何にも使えないじゃない。それよりも力をつけた方が自分のためになるわ。なんで前回はうじうじしてたのかしら。最初っからこうすれば良かったわ。」

『前回って?』

「こっちの話ー」

訝しげな表情の少年をごまかし、今日もギルドに向かおうとする。が、

『じょうちゃぁぁん!今日も俺と手合わせしてくれ』

『ソードマスター!今日も来たんですね!』

『おうよ!少年。なぁ嬢ちゃん頼むよぉ。嬢ちゃんしか俺と手を合わせてくれるやつがいないんだ。最近嬢ちゃんも強くなって、俺負けることも多いし、今度こそ勝ちてえぇんだよ』

少年と同じように宙に浮いている男性。彼は前世で伝説のソードマスターと呼ばれた男だった。

ある依頼をやっていた時に出会い、それ以来たまに遊びにくる。

剣術を学びたかった私は最初、何度も手合わせを願い断られていたが、10回目にして、私が勝利を掴んだ日からこうして勝負を挑まれるようになった。今のところ1000勝999敗である。男性も自分の本当の名前をいまいち覚えていないようでソードマスターと呼んでいる。

『いやぁ、お嬢ちゃんは俺が生きてた頃にあったやつの中で一番つええな。前世はつまんなくて遊び相手探してたけど、死んだ後の方が楽しいなんて、世の中皮肉だなぁ。まぁ死んでから100年経って出会った相手だから、100年間死ぬほど暇だったけどな。まぁ、死んでんだけど』

「はは、まぁいいですよ。私も暇だったので。」

『おお、ほんとか。ありがとな。』

そのまま外にでて、木の剣を構える。ソードマスターと出会ってから練習するために購入したものだ。勿論ソードマスターに当たる瞬間とか攻撃を受ける際には、波長を変化させないといけないため、ものすごく体力を使うのだが。

『じゃぁ行くぞ』

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