第12話 はっきり言うけど!
「あ、有り得ない……」
「ず、ずっと私の本性知ってて、なのに何も言わなかったんだ」
「酷い」
「私のこと馬鹿にしてたわけ……!?」
涙声の胡桃。どすどすと枕を殴りつける。
「落ち着けって、落ち着けるわけないでしょ!?」
「だって、だって……」
胡桃が泣き始める。
「お兄ちゃんが大好きだってこと、ずっと前からバレてたなんて……!!」
家中に響くくらいの大声。
「そうよ! 素直になれないだけで本当はずっとお兄ちゃんのことが大好きだったの!」
「結婚したいし彼女になりたいしずっと一緒にいたいしいちゃいちゃしたかったの!」
「でも恥ずかしいからお兄ちゃんが寝てる時だけ甘えてた! 悪い!?」
どんどんヒートアップし、声が大きくなっていく。
「でも覚悟決めて、もっとちゃんとした状況で告白しようと思ってたのに……!」
「お兄ちゃんの馬鹿! 最低! デリカシーなし男! 大好き!!」
怒りながら叫ぶ胡桃。
「……お兄ちゃん」
急にいつもの声の大きさに戻る。
「私、すっごく傷ついたの」
「お兄ちゃんのせいだよ?」
「お兄ちゃんが寝たふりなんかするから」
「お兄ちゃんのせいで今、私はすっっごく傷ついてるわけ」
どんどん胡桃が近づいてきて、声の圧も増していく。
「お兄ちゃんは女の子をものすごく傷つけたの」
「責任とらなきゃいけないよね? ねえ!?」
やけくそになった胡桃の声がまた大きくなっていく。
「あーもう! はっきり言うけど!!」
「お兄ちゃんのこと世界で一番大好きだから、さっさと私を彼女にして!」
我儘を言う子供のような口調。
「……え?」
「せ、責任は元々とるつもり……って」
「アンタ、自分がなに言ってるか分かってんの!?」
「ずっと前から好きなのは同じ?」
「私が可愛いから知らないふりしてた?」
「なにそれ、なにそれ……!」
嬉しさと怒りが混ざり合った声。
「そんなの、一生愛してくれなきゃ許さないから!」
胡桃が勢いよく抱きついてきて、耳元で甘く囁く。
「私の気持ちに気づいてくれてありがとう、お兄ちゃん」
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