第11話(睡眠時)種明かし
具合が悪く、寝ている。
その真横につきっきりで胡桃が看病してくれている。
「だいぶ顔色はよくなったよね」
「冷えピタ、そろそろ変えた方がいいかな」
額に貼った冷えピタを変えてくれる。
「お兄ちゃん、やっぱり無理しすぎなんだよ」
「……ベッドとっちゃったの、悪かったかな」
「ごめんね」
申し訳なさそうな声。
「夜には、おばさんたちも帰ってくるって」
「ゼリーとか買ってきてくれるって言ってたよ」
「……帰ってきたら、2人きりの時間は終わっちゃうね」
「お兄ちゃんはすごく心配だけど……」
「私、嬉しかったんだ」
「いつもは素直になれないから、こういう時くらいしか素直になれないもん」
「それに、いつもお兄ちゃんに助けてばっかりだから、看病できて嬉しかったの」
近寄ってきて、頬に触れられる。
「もし熱が移ったら、今度はお兄ちゃんが私を看病してくれる?」
「……なんてね。そうなったら、またお兄ちゃんに迷惑かけちゃうね」
「ねえ」
「これからも、熱の時は私を頼ってほしいな」
「熱だけじゃなくて……お兄ちゃんが困った時に、一番に浮かぶのが私の顔だったらなって」
「本当に、大好きだから」
「お兄ちゃんは優しいから、私が告白したら受け入れてくれる?」
「……優しさとか、同情なんて嫌だけど……それでも、傍にいたいな」
そっと手を握られる。
「妹みたいって、お兄ちゃんはいつも言ってたけど……」
「私、妹で終わる気ないから」
胡桃が軽く深呼吸する。
「決めた」
「私、お兄ちゃんに告白する」
「こんな風にお兄ちゃんが困った時……真っ先に駆けつける理由が欲しいって、改めて思ったから」
「だから早く、元気になってね」
「……もし私のこと振ったら、許さないから」
震えた声。
「こんなにお兄ちゃんのこと大好きな女の子なんて、私以外にいないんだからね」
「だから、私を振るなんて馬鹿みたいなこと、絶対しないで」
「……えっ!?」
「お、おに……アンタ! い、いつの間に起きてたの!?」
動揺しきった声。
「い、今起きたのよね!? 喉乾いた? それなら水でも……」
立ち上がろうとした胡桃の腕を掴む。
「わっ……!」
「……ずっと起きてた?」
「ず、ずっとっていつからよ!?」
キレながら涙声になっている。
「はあ!? 基本的にいつも寝たふり!?」
「あ、あ……」
声にならない声。
「お、お兄ちゃんの馬鹿ー!!」
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