第8話 ずっと可愛い
「美味しそう?」
「当たり前でしょ、私が作ったんだから!」
嬉しそうな声で得意げに言う胡桃。
「オムライスくらい、さくっと作れるし」
「……なに?」
「と、得意でも、ちょっとくらい失敗することもあるでしょ!」
「うるさい! アンタには綺麗に卵のせられた方あげてるのに!」
「はあ? 別にそんなんじゃないし」
「……人に綺麗にできた方あげるの、普通でしょ」
「いいから、さっさと食べてよ!」
「……いただきます」
少し拗ねたように言って、オムライスを食べ始める胡桃。
「……美味しい?」
「まあ、私が作ったんだし、当たり前だけど」
「感謝しなさいよね」
嬉しそうな声。
そのまま、しばらく食事。
♡
「え? 皿洗い?」
「やってくれるの? ……あ、いや、そもそも私がご飯は作ったんだから、皿洗いくらいやるのは当たり前でしょ」
「……でもまあ、一応言っとく」
「……ありがとう」
「家まで送るって……別に、隣なんだから送るも何もないでしょ」
「危ない? ここから、1メートルも離れてないのに?」
「……ふーん、可愛いから危ないって、私のこと可愛いって思ってるんだ?」
からかうようだが、嬉しさを隠しきれていない声。
「まあ私って結構可愛いし?」
「アンタもやっと、私の可愛さに気づいたってわけ?」
「……は? 昔から可愛い? アンタ、いきなり何言ってんの……!」
「ちょっとトイレ行ってくる!」
どすどすと足音を立ててリビングから出ていく。
♡
「……あのさ」
「今、お母さんからLINEきてて……」
「……今日、家に帰らないから、アンタの家に泊まらせてもらったら? って言われたんだけど」
「べ、別に私が泊まりたいわけじゃないからね!?」
「ていうか、一人でも別に平気だし」
「ま、まあ? お母さんがおばさんにもう許可とっちゃったから、一応アンタにも言っとかなきゃっていうか……」
「……は? と、泊まってほしいって、なんで?」
「久しぶりのお泊まりも楽しそうだから?」
「なにそれ! もう子供じゃないんだけど」
「……まあ、別に、嫌とは言ってないし」
「アンタがそこまで言うなら、仕方ないわね、泊まってあげる」
「そ、その代わりベッドは譲ってよね」
「……部屋から追い出したりはしないから」
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